隣人に相続財産管理人を依頼された(2)_1127

Golden Gate sanfran

法律ノート 第1127回 弁護士 鈴木淳司
Sep. 15, 2018

 先日、飛行機で乗り合わせて話をしていた日焼けした男性がもう70歳というのに、かなり若く見えびっくりしました。数年前にリタイアしてから、毎日自転車で走り周り、ゴルフをして、筋トレやヨットなど毎日忙しくてたまらない、といいながら笑っていました。歳をとっても体を動かすことはやめてはいけないとは思っていましたが、さらに楽しくスポーツで汗をかくことが心身ともに良いのですね。見ていても気持ちが良いものです。皆さんは運動されていますか。

隣人に相続財産管理人を依頼された(2)_1127

 さて、前回から考えてきた、相続関係の質問を今回も考えていきましょう。前回まとめた内容は「私達家族は、カリフォルニア州に家を持ち、子供を育ててきました。子供たちも巣立ち、現在夫婦で暮らしています。数年前、隣人夫妻の夫が亡くなり、高齢の奥さん一人になりました。家族ぐるみで仲良くしていた夫妻です。最近になって、この奥さんから、遺言やトラストを書き換えているが、亡くなったときの管理人になってもらえないかと言われ、奥さんの弁護士とも話をしました。よく、内容が理解できなかったのですが、経済的な負担はない、ということで承諾しましたが、現状でも、どのような責任が発生するのか、不安ではあります。この管理人というのはどういうものなのか、教えてください」というものでした。前回は一般論として、「管理人」がどうして必要なのか考えました。

管理人は書類で指定

 さて、今回「管理人」というのは、どうやって指定されるのかを考えます。まず、「管理人」と呼ばれる人たちは、法律用語的には、相続の場合には、Administratorと呼ばれ、トラストの場合には、(Successor)Trusteeと呼ばれます。日本では、相続財産管理人という制度が民法で定められています。今回の法律ノートでは、まとめて単に管理人と呼んでおきましょう。

 トラストでも遺言でも、管理人は、書類で指定しておきます。これらの書類は、生きているうちに人が作成するものですから、通常は家族、いなければ友人や弁護士、場合によっては金融機関などを指定しておきます。同居する親族が一番迷惑はかけにくいという実態はあります。

 このように書類によって指定することが普通なので、皆さんの死後、書類を見れば、誰を指定したかはあきらかではあります。しかし、指定された人にとって不意打ちになる場合もあったり、指定された人が先に他界しているようなこともありえます。財産の管理人を指定するのは、トラストや遺言を残す人が一方通行で指定する性質なので、指定された人は、通常はトラストや遺言を見るまで「知らない」ということになります。

 ですので、トラストや遺言を作成したときに、少なくとも口頭で「管理人に指定したよ」ということを伝えておくのが指定された人にとっても良いということになりますね。口頭で伝えることを超えて、トラストや遺言の内容をすべて見せるのは作成者も躊躇するでしょうし、見せられた人も困ってしまうかもしれません。ですので、口頭で伝えておけば事足りるということになります。

 今回質問されている方も、隣人の方から口頭で管理人の指定について告げられたようです。もちろん、気になればトラストや遺言を見せて欲しいと頼むこともできるかもしれませんが、管理人の仕事については、以下考えるように、一般的なことが多いので、そこまで気にしなくても良いと思います。

裁判所が管理人を選任する場合も

 それから、場合によってはトラストや遺言がまったくない状態で他界されるケースも少なくありません。このような場合には、裁判所が管理人を選任することになります。裁判手続を通して、親族などが管理人になっていくということになります。この場合、裁判所は誰が適任か見定めることになりますが、候補者が名乗るのが多くあります。このように、書類によって指定される場合と、裁判所によって指定される場合がありますが、どのような形でも財産の処理について、管理人が必要となってきます。

 次回、今回の質問を続けて考えていきます。実際の「管理人」は何をやらなくてはいけないのかというところを次回考えましょう。

 日本でもアメリカでも、台風やハリケーンの被害が発生していますが、被害が大きくならないことを祈っています。また一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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