法律ノート 第1206回 弁護士 鈴木淳司
Mar 31, 2020
COVID-19ウイルスの猛威はアメリカを含め世界で広がりが止まりません。先日の志村けんさんの他界にはショックを受けました。ウイルスで死者が出ているといっても抽象的な話で済ましてしまう部分がありましたが、テレビで馴染んだ有名人がこの世からウイルスのためにいなくなる、というのはある意味日本の人たちも現実的に状況を捉えるきっかけになっているのではないでしょうか。またCOVID-19とは別のウイルスでも死人が出ているとか。一体いつ終わりが見えるのでしょうか。ため息が出てしまいますね。
訪米中の交通違反(2) 1206
さて、前回から「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符を切られてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」という質問を考えはじめました。
切符から管轄の警察や裁判所を調べる
前回、2つの可能性が考えられるということは理解されたと思います。
一つは、警察が事件化しない場合、もう一つは裁判所の通知が郵便事情で届かない場合、ということでした。今回続けて考えていきましょう。
まず、スピード違反などで切符を切られると(アメリカでは、受け取るものは黄色の長細い切符が一般的)、その切符に「何時、どこの裁判所」に出頭するように、という記載があります。
この記載はマニュアル的に記載されますが、事件になると「どこの裁判所」で審理がなされるのか記載があります。また、その切符にはどこの警察が切符を切ったのかも記載があります。これらの情報がヒントになります。
まずは、この警察や裁判所の情報をインターネットで確認して、できれば電話連絡をして事件化されているのか、裁判となっているのかを確かめる必要があります。警察で事件化されていないことが確かめられれば、そこであとは何もすることはありません。
一方で、裁判となっている場合には対応が必要になります。
切符を紛失してしまったら
なお、切符を紛失してしまった、ということもあると思います。その場合には、どこの警察が切符をきったかというのは、なかなかわかりにくいものです。
高速道路であれば、カリフォルニアハイウェイパトロール(CHP)の可能性が高いですが、カリフォルニア州には、シェリフ(保安官)が取締をする場合もありますし、郡や市にも警察が設置されている場合もあります。
したがって、どこの行政かを探すよりは、捕まった場所を管轄する裁判所の交通部門に連絡するのが一番手っ取り早いということになります。
また、最近では交通事件でもオンラインで事件を探すこともできるシステムを導入している裁判所もあります。
まずは、切符に書いてある情報、捕まった場所をもとに、インターネットで裁判所を検索するのが良いと思います。
裁判所に電話をするとなかなか取り合ってもらえなかったりすることもあります。また、すべて英語で対応しなければならないので、大変かもしれません。しかし、交通事件になっていれば、情報はありますので、根気よく対応をするしかないと思います。
その裁判所近くの弁護士に委任することも考えられますが、まずは情報を探すだけの作業ですので、自分でできる限りのことはするべきだと思います。
Warrant(勾引状)が出ていたら
かりに情報がもらえて、罰金を払えば良いという状況であれば、すぐに罰金を納付すれば事件は終了します。最近ではクレジットカードでも支払いができる場合もあるので、すぐに対応してしまえばよかろうと思います。
裁判所からの情報で、Warrantが出ています、と言われた場合、少々ややこしくなります。Warrantというのは、裁判所に出廷しなかったために勾引するための令状です。勾引状というものです。
地方の交通事件に関するWarrantは、今までは移民行政と絡むことはありませんでしたが、同時多発テロ事件以降、様々な勾引状の情報も移民行政と共有されているという現実もあります。
小さな事件でも対応していないとアメリカに入国するときになんらかのトラブルになるのは本意ではないでしょうから、できればこの勾引状問題は解決しておきたいところです。
次回もう一度今回の質問を考えていきたいと思います。主に勾引状について考えていきましょう。
なんだか、生活が変わってきてしまいましたが、健康を第一にまた一週間がんばっていきましょうね。
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