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アメリカで弁護士なしの本人訴訟(6)_1200

法律ノート 第1200回 弁護士 鈴木淳司
Feb 17, 2020

アメリカで弁護士なしの本人訴訟(6)_1200

 お客様でもあるワイナリーから空の樽を売ってもらいました。1樽25ドルでいただきました。もともと高級な樽は一つ何千ドルもするそうですが、2サイクルしか使わないそうです。ワイン事業というのはいくらお金がかかるのか。天気も良くなってきたので、私はその樽を利用して庭で植物でも植えようかと思います。北カリフォルニアは花も咲きだして良い季節になってきました。ただ冬の間雨が少なかったので、また干ばつが心配なところです。

 さて、ここまで3回考えてきた質問に対するお答えの今日が最終回です。

 考えている質問は「やっていたコンピュータ関係のビジネスを清算するために、中古ですが電子機器をまとめて他業者に売ったのですが(数万ドルのようです)、正常に稼働しないということで、紛争になっています。相手方他業者は、かなりの損害になったと主張に訴訟をしてくると言っています。払った額は戻すので現物を返してくれといっても、損害が発生しているので、それだけでは許さないといって感情的になっているようにも思います。やっていたビジネスは小規模でとても弁護士を頼むこともできないのですが、訴訟になった場合には、ネットなどでは本人だけでも訴訟もできる、ということですが、実際に訴訟を素人ができるものなのでしょうか。」というものです。

 前回、事実審のことを考え始めました。

事実審

よく、映画やテレビになるのは、この事実審、すなわち法廷で陪審員が座っており、弁護士が熱く弁論しているようなシーンではないでしょうか。
 今回の質問で本人が訴訟をする場合、和解ができなければこの事実審を自分でしなければなりません。事実審に行くのは、事件の中でもほんの数パーセントなので、弁護士でも、かかわらない人はまったくかかわらないという現実もあります。それを本人訴訟で行うのは、なかなか大変なことであるでしょう。

事実審には、2つパターンがあります。

陪審員という素人の人を12人(民事事件であると12人より少ない場合も考えられます)呼んで判断してもらうパターン。それから、当事者が双方合意して、裁判官に判断してもらうパターンがあります。少額事件(Smalls Claims)に関しては、陪審員の判断は保障されていませんので、裁判官による判断になろうかと思います。

Motion in Limine(使えない情報を排除する申立)

 事実審に至る前に、まず事実審でどのような証拠が使えるのか当事者双方がやり取りします。この申立をMotion in Limine(使えない情報を排除する申立)と言いますが、この申立がかなりキモになります。

 アメリカでは「証拠法」という民事でも刑事でも適用される法律があって、その証拠法に基づいて、どの情報を公に使えるのか、すなわち証拠とできるのか判断していくことになります。

 実際問題として、この部分はかなり専門的であって本人訴訟ではどのようにするのかかなり難しい話だと思います。

重要になるのは証人

 そして、実際の事実審ですが、テレビなどでは弁護士がバリバリ弁論したりしていますが、実際、主役は証人です。当事者も話をすることもありますが、とにかく弁護士(刑事事件であれば、検事も含まれます)は質問をするだけで、陪審員や裁判官が聞いているのは証人の証言です。その証言のなかから何が事実なのかをあぶり出していくのが事実審の役割なのです。

 ですので、証人に対して双方の弁護士がいろいろな角度から質問をするという形式をとることによって、事実はどのようなものなのかが見えてくるだろう、という制度設計になっているのです。

 どんなに優秀な弁護士であろうが、証人がイケていなければ事件は勝てません。
 日本の弁護士と話をすると裁判所は証人の証言よりも、書面を重視するんだよ、という人もいますが、アメリカでは事実審において(もちろん書面も大事でしょうが)、しっかりした証人の証言がなければ事件はうまく運びません。

 ですから、どのように証言をするのか綿密な打ち合わせをすることも大事ですが、どのような見栄えなのか、そしてしっかりした口調なのか、などが重要になってくるのです。また、弁護士に踊らされているような証人もたまにいますが、それは座りが悪いわけです。本当に自分の見たことを積極的に証言できなければ、証言に疑問符を打たれます。

 したがって、訴訟案件を受けるときに、経験があればあるほど弁護士は、その本人はどのような人なのか、じっくり観察することになるのです。

法廷で発言をするということ

 もし、今回の質問者も本人訴訟を考えているのであれば、特に民事事件は自分でも証言をする、ということをよく理解しておかなければなりません。

 単に、自分の主張をするのではなく、相手方からの質問にもちゃんと答えなければなりません。事実審はそういうシステムだからです。

 陪審員が証言を聞く場合には、裁判官はいわゆる進行役に徹します。テレビの歌謡ショーで言えば司会進行役のアナウンサーという感じでしょうか。ですので、かりに本人訴訟をするとすれば、裁判官が色々助けてはくれると思います。一方で裁判官による裁判の場合には、すべての身のこなしや発言などは耳に入り、その入っている人が判断するわけですから、かなり注意をしないと、いろいろなところで心証を形成されてしまう可能性があります。

 長くなりましたが、この辺までにしておいて、また個別の質問があれば本人訴訟について取り上げていきたいと思います。花粉もすごくなってきましたが、春のような日も多くなってきました。太陽を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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カテゴリー: アメリカ法律ノート | 投稿日: | 投稿者:

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