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父が認知症に。アメリカの後見制度(1)_1201

法律ノート 第1201回 弁護士 鈴木淳司
Feb 24, 2020

 先日空港にいたのですが、かなりの人がマスクをしていました。マスクで商売している人もいるというニュースを見ましたが、人種、国籍問わずマスク姿をしていてかなり衝撃的でした。SARSよりも感染が広がっているように思います。季節が暖かくなると落ち着くという学者もいますが、楽観視できない状況ですね。アメリカも日本への渡航自粛レベルを上げていますが、このままだと、日本人のアメリカ入国にも確実に影響するように思えます。皆さんも健康にはくれぐれも配慮してください。

父が認知症に。アメリカの後見制度(1)_1201

 さて、今回から皆さんからいただいている新たな質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。
 いただいている質問は、「父母と私(質問者は一人っ子の娘さん)はアメリカに長年在住している家族です。私はこちらで結婚し、家を出て子供を育てています。一昨年母が他界してから、父が物忘れもひどくなり、いわゆる認知症の状況になってきました。そこで、私の家族は父と一緒に住むことにしようと話し合っています。父の面倒をこれから見るのに、後見制度を利用したいと思っているのですが、どのように進めたら良いのか、全体像を教えてください。」というものです。

コンサーバターシップ-アメリカの後見人制度

 日本でも後見人制度と言われる制度があるように、アメリカでも、コンサーバターシップ(Conservatorship)という制度があります。

 今回の質問において、少なくとも質問者のお父様と他界されたお母様は日本国籍の永住者ということがわかっています。日本人であろうとも、アメリカに居住し生活を送っているのであれば、アメリカにおいてコンサーバターシップ(以下、日本語で後見制度と言うことにしましょう)の対象になります。
以下、全体像を考えていきましょう。

申立ては管轄する裁判所に

 まず、後見制度は州の裁判所が管轄している制度です。
 ですので、州にまたがった事例の場合、後見が必要な人(被後見人)が居住している場所を管轄する州の裁判所に申し立てをする必要があります。

 今回質問されている方のお父様はカリフォルニア州にお住まいということですから、カリフォルニア州の裁判所に申し立てをすることになりますね。

 さて、後見制度というのは、法律で全体が規定されています。勝手に、たとえば子供が親の面倒を見るから後見人になるということはできません。必ず裁判所を通して裁判所のお墨付きをもらっておかなければならないようになっています。これは当たり前で、子供であろうが、親の財産を自由にできてしまうと親の意思に反した財産の処分が行われてしまう可能性があるからです。

 後見制度は生活に密着した制度であり、できるだけ一般の方にもアクセスしやすいように、裁判所は情報を提供しています。
 たとえば、サンフランシスコの裁判所でもウェブサイトをで様々な質問に答えていたり、様々なフォームを用意しています(https://www.sfsuperiorcourt.org/divisions/probate/conservatorships-of-adults
)。

後見人の義務は多岐にわたる

 ただ、手続きは裁判所を通して行われるわけで、なかなか経験のない家族がすべてをこなすのは難しいかもしれません。そのときは、後見制度の専門家に相談したほうが、ひいては家族のためかもしれません。

 また、裁判所から後見人に指定されてしまうと、いろいろな義務が発生します。その義務の対価として、ある程度金銭的に保障されるのですが、疑問が生じたときに、誰か相談できる人を置いておくのは賢明かもしれません。今回相談されている方も、実際に自分が後見人になった場合には、どのようなことをしなければいけないのか、など不安もたくさんある様子でした。もっともだと思います。

 後見人になると、金銭的な管理もしなければいけませんし、生活をどうしていくかなど自分だけではなく他人のことも考えていかなければならないのです。ある程度の覚悟と時間が必要になります。

 そして、後見人になると、一時的な役割ではなく、継続的な責任が発生していくということになります。

 いわゆる日本では善管注意義務と言われていますが、善良な管理者として注意を常にしていかなければなりません。また、ちゃんと注意をしていることを定期的に裁判所に報告する義務も発生してきます。

 このようにみると気軽に後見人になるものではなく、やはり親しい家族が一般的には適当であると考えられているのですね。

 次回、実際にどのように後見人制度が動いていくのかを考えていきたいと思います。プラムの花が綺麗に咲く時期になってきました。太陽を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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