法律ノート 第1176回 弁護士 鈴木淳司 Sep 1, 2019
レーバーデー(いわゆる勤労感謝の日)で三連休です。この三連休を境に夏の終りと考える人も多いと思いますが、まだまだ暑い日が続きますね。私はこのところ、法廷と事件関係の聞き取り調査などでほとんど事務所にいることができませんでした。かなり出張作業が多かったので、この三連休はゆっくりしようと思っています。各地でフェアー(お祭りのようなもの)も盛んに行われていますね。皆さんの三連休はいかがでしょうか。
アルコールはトランクへ!オープンコンテイナーと交通違反
さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。いただいている質問をまずまとめましょう。
「日本から観光でワイナリー巡り(カリフォルニア)にきました。レンタカーを借りて、ツアー会社の指定する場所からバスでいくつかワイナリー巡りをしました。昼食に買ったワインを少し飲み、残ったワインは購入した他のワインとともに持って帰りました。ツアーを終え、翌日、次の目的地に向かっていたところスピード違反の容疑で車を止められたのですが、そのときに、割れないように車内に置いておいたワインのことを咎められ、スピード違反の他にも交通切符を切られました。実際にどのような法律があり、交通切符は妥当なものなのでしょうか」というものです。
ワイナリー巡りで新たなトラブルも
カリフォルニアのワイナリーは海外にも知られ、この20年、あれよあれよと言う間に観光客を集めるようになりました。私の所属する事務所にもワイナリーがクライアントでいますが、いまではカリフォルニアワインは一つのブランドまでのし上がったように思います。
今回質問されている方のように、カリフォルニアのワイナリーも観光の一つになっているというのは、嬉しいことですが、反面いろいろなトラブルも発生している現実があります。
今回の質問にもあるように、ワイナリー巡りにまつわる相談というのも増えてきたように思います。まあ、今回質問されている方も、交通切符で嫌な気分になったかもしれませんが、良い思い出ができているといいな、と思ったりしています。
オープン・コンテイナー
さて、今回の質問は、アメリカでは一般的に「オープン・コンテイナー」と言われている話しです。
コンテイナーは容器ですから、「開封済み容器」という意味ですが、車社会アメリカでは特別な意味があります。
いわゆる開封済みのアルコール飲料を車内に置いたまま運転していると運転手が罰せられるということです。いつでも飲める状況で運転しているのはいけない、ということなのです。
アメリカでは全部の州でこの法律がありますので、アメリカで運転される際は必ず頭に入れておいていただきたい法律ではあります。
最近ではマリファナが合法になったことから、マリファナの「オープン・コンテイナー」も問題になりえます。
映画の世界とは別
ここまで読まれて鋭い読者の方は、今回質問されている方のように、ツアーに参加して途中手持ちのワインを飲んだり、異様に長いストレッチ・リムジンの後部座席でシャンパンを飲むなんていうシーンも映画で良くあるじゃないか、と思われるかもしれません。
おっしゃるとおりです。
主に次回から考えますが、カリフォルニア州の法律では、オープン・コンテイナーに関する法律は、バスやリムジンには適用されないという例外的な形で定められているからで、一般的に許されているわけではないのですね。 逆に通常は、車内で酒を飲めないので、アメリカでは、リムジンでシャンパンを飲むというシーンが多く使われているわけなのです。また、昔の映画でシャンパンをボトルごと飲みながら運転をしているシーンがあったりしますが、これは、アメリカでは一般的に「常識的ではない」ということを映画で演出しているということになります。
この辺りのニュアンスは、アメリカ特有なのかもしれませんが、今回考える「オープン・コンテイナー」の法律を知っておくと、「なるほど」と思えるところかもしれません。
カリフォルニア州車両法(Vehicle Code)23222(b) 条
さて、カリフォルニア州でも、カリフォルニア州車両法(Vehicle Code)23222(b) 条というのが、オープン・コンテイナーに関することを定めています。 要するに開封済みのアルコール飲料は車内ではなく、トランクに入れておきましょう、というのが総括です。
せっかくなので、次回、もう少し詳しくこの23222条を考えていきたいと思います。
これから秋ですね。魚も美味しくなる季節です。季節替わりを楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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