親族ベースの永住権とスポンサー

June 26, 2019

日本で友人の医師に聞くところによると、かなりアジアの受診者が日本で増えているとか。それも、場合によっては、顔写真のない健康保険証を使いまわしているんじゃないかという場合もあるそうです。

外国から来た学生さんでも、病院や歯科医院に簡単に行ける日本は、日本語が話せれば良い国なのだと思います。これらの健康保険にかかる税金を毎年一定払わない外国人からはどうやって徴収しているのでしょう。今回は、このような状況がアメリカで起こったら、というお話です。

 

親族ベースの永住権とスポンサー

親族ベースの永住権の許可を得る場合に、要件として外国人のためにスポンサーが必要になります。 このスポンサーというのは、外国人が永住権を得た場合に、公的扶助を受けないように金銭的なサポートを内容とするものです。  

スポンサーの責任ー金銭保証

このスポンサーはある意味、責任は重く、いったんスポンサーとなってしまうと、その外国人がある程度法律で決められた程度ちゃんと収入を得るようになったか、市民権を取ったか、または永住権を放棄するまでは、金銭的な保証をしていることになります。

恐ろしいのが、離婚した場合でも、責任を負い続けるということになります。 昔はこのようなスポンサー要件はありませんでした。

しかし、公のお金を新たに来る移民に使うのはもともと税金を支払った市民にとっては気に食わないわけですね。 ですので、このようにスポンサー要件を設置して、公的扶助を簡単に得られないようにしたわけです。I-864という移民局の書類がスポンサー用の書類です。  

 

公的扶助を受けた場合、スポンサーも罪に問われる

もちろん、もともとこのスポンサーの書類に虚偽記載をした場合には、罪となることは自明ですが、スポンサーされた外国人が公的扶助を受けた場合、スポンサーも罰せられるという条文が移民法上定められています。

今回また、パフォーマンス重視の米国大統領は、新たな大統領令を発し、永住権保持者が公的扶助を公的機関から得ていた場合には、スポンサーに対して厳しく対応するという内容の行政命令を発しました。

今まで、スポンサーが罰せられるというのは、あまり聞いていませんでしたが、とにかく移民政策で点を稼ぎたい大統領は、このスポンサー制度にもフォーカスを据えたわけです。

 

2019年5月23日大統領令

この2019年5月23日に発布された大統領令を俯瞰しましょう。

まず、「法律に定められた通り、」スポンサーの義務をきっちりしてもらう、ということが書かれています。

そして、スポンサーが外国人の公的扶助に支出された額は政府に返納する義務があるということも「法律に定められている」としています。米国大統領は、すでに定められている法をどのように運用するのか設定しているだけなのだ、というスタンスを持っているわけです。議会に文句を言われないような設定の仕方をしているわけですね。

それから、大統領令発布後、90日以内に、政府は、スポンサー義務の強制について、ルールやガイドラインを策定し、各行政機関に周知させること、そして、いやらしいのが、連邦司法長官と国土安全局に具体的な未払案件について知らせるような手順を作ること、となっています。

前者に知らせて訴訟を提起し、未払いを回収、後者は、支払いを怠った外国人に対する対応のためでしょう。  

 

支払いを怠った外国人とスポンサーはデータベースに

さらに、支払いを怠った外国人とスポンサーのデータベース化を推し進めようとしています。したがって、いったん目をつけられてしまうと、複数人のスポンサーになることが難しくなるかもしれません。

このように、今回の大統領令も含め、異常なほど、外国人を管理しようという狙いが大統領にあります。

覚えておきたいのは、タイミング的に大統領は確実に選挙のパフォーマンスのために、今回いきなりこのような大統領令を出したわけです。ショービジネスに長年かかわるとパフォーマンスのやり方も堂に入ったものです。

しかし、一方で、大統領がこのような方針を取るということは、外国人排除を唱えるアメリカ人もかなり多くいるということになります。自分たちが移民してきて落ち着いて、税金払い出したら、もう来るな、芥川の蜘蛛の糸的な発想ですね。

未だに私の友人でも、大らかで、雑だけどのんびりしているアメリカ人がたくさんいるのですが、だんだん人間も変わり、アメリカも変わってきてしまうのでしょうか。

そうなったら魅力があまりない国になってしまいそうですね。

次回新しいトピックをまた考えていきましょう。  

 


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作成者: jinkencom

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