米入国時に足止めービザ取得は必要?(2)_1148

空港これからアメリカへ

法律ノート 第1148回 弁護士 鈴木淳司
Feb 20, 2019

やっと雨が多かったベイエリアもこの三連休晴れ渡りました。気持ち良い空気です。
街では桜や梅が咲き、春の足おとが近づいてきているようにも感じます。山側のカリフォルニアではかなりの積雪になっているようで、今年の水不足は回避できるのではないか、と期待できます。よく晴れた空のもと、まだ寒いですが散歩するだけでも、かなりの気分転換になりますね。みなさんは機会を見て外出されていますか。
 

米入国時に止められるービザ取得は必要?(2)

さて、今回は前回からの続きを考えていきたいと思います。
前回考え始めた質問は「ここ1年ほどアメリカの子会社の設立かかわっています。出張ベースで渡米しているのですが、何度か入国で止められるようになりました。私はアメリカに長期滞在することは考えていないのですが、ビザを取るべきだ、と入国するときに言われます。入国審査の時間も長いのですが、本当にビザが必要なのか、何を持って見極めているのか教えてください」というものです。
前回は入国に関しては審査官の裁量が大きく、ESTAで入国するときに、不審に思われないようにすることが重要である、ということを考えました。

ESTA入国の意味するところ

今回の質問にお答えするにあたって、まずESTAが想定する入国を考えておきましょう。
ESTAというのは、最長で90日間の観光等の一時的な目的の入国に利用されます。
したがって、就労したり、長期の留学をしたりするには不適切ということになります。また、この90日間というのは、基本的に延長はできませんから、90日以内にアメリカを出国する証拠、すなわち帰国便の情報を提示する必要がでてくるのです。
ESTAというのは、以前は「ビザなし入国」と呼ばれる、自国のパスポートのみで渡航ができるシステムの進化版です。
どこが進化したかというと、事前にコンピュータ入力をして、その情報がアメリカの国務省に送られて、事前にバックグラウンドチェックをされるという点でしょうか。
 

具体的に証拠を提示する

一時的かつ、観光や展示会、会議などの出席(就労、すなわち対価を米国内で得る行為を除く)などに限り、ESTAが使われるわけですから、入国に際しても、まず「何をしに来たのか」ということを聞かれるわけです。そのときにはっきりと目的が言えないと不審に思われるのです。
できれば、その目的に合致した証拠を持っていると良いです。
たとえば、観光であれば、そのツアーの旅程表、展示会や会議等であればその詳細を携帯していると良いと思います。
英語があまりできなくても、目的を示す単語ははっきり言いたいですから、その単語は言えるようにしておきましょう。
 

入国目的を明確に、余計なものは持たず

このESTA入国の目的に合致する状態で入国しているかどうかが、不審に思われる判断の分かれ目になります。
たとえば、単なるツアーで観光に来た、というのでは3ヶ月のツアーは長いんじゃないか、とか、展示会や会議ではなく実際働くのではないだろうか、などと邪推される可能性もあります。
入国ブースで不審に思われると、セコンダリーと呼ばれる第二次審査の部屋に通されます。場合によっては、荷物をすべて回収してから、検査を受けることになります。そして、そのときに持ち物を詳しく検査されます。
もちろん、同意のうえで検査されるのですが、同意しなければ、その場で裁量により入国不許可ということもあり得るわけです。ここでスーツケースのなかに、不審なものが入っていると、そこで入国の目的がESTAの範囲外とされてしまう場合もあります。
たとえば、包丁が入っていれば、調理師として働くのではないかと思われますし、現地の住所が入った名刺が発見されれば就労しているのではないかと思われます。また、現地のアパートの光熱費の支払いなどがわかると長期で滞在する意思を疑われます。
このように考えると、ESTAでスムーズにアメリカに入国するのは、特に目的をはっきりいうこと、そして、その目的にそぐわないものは荷物にいれないことが重要となるわけです。
 

長期滞在と永住する意思の推測

今回の質問を見ると、入国の目的を直接的に疑われているわけではないように思います。
一方でかなり長期の滞在をし、数日程度日本に戻って、またアメリカに再入国にするような事例だと、継続してアメリカに住む意思が推認され、一時滞在の目的を超えて滞在するのではないか、と思われてしまうのです。
もちろん、90日間を限度として合法的に滞在できるわけですが、その期間をマックスに滞在して、数日しかアメリカを離れないということを繰り返すことは、アメリカに永住する意思があるのではないかと誰何されてしまうのですね。
本当に一時的に、子会社設立のために渡航しているのであれば、その内容を真摯に、第三者(たとえば設立にかかわる人たち)に書いてもらい、詳細なスケジュールや、設立に関する活動の詳細をまとめて、滞在期間が正当化できれば、ESTAを利用する入国も問題はないはずです。
しかし、実際に会社を設立し、そのままアメリカの子会社にかかわることが将来的に確実であれば、なんらかの就労ビザをとることも考えたほうが良いですし、滞在が実質的に90日を超えるようなプロジェクトであれば、B-1/B-2ビザという6ヶ月から最長1年の滞在が許されるカテゴリーがありますので、それを利用することも考えられた方がよいかもしれません。
次回新しい質問を考えていきましょう。また、一週間、インフルエンザに気をつけながらがんばっていきましょうね。


 
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作成者: jinkencom

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