学生が米国で留学を続けるためには?





 
法律ノート 第999回 弁護士 鈴木淳司
March 22,2016
 
20年前に比べサンフランシスコやその周りのエリアでは、家賃が3倍にも4倍にもなっているようです。ワンベッドルームのマンションで、月々3000ドルは当たり前、というエリアになってしまいました。私が通勤に使う道路に面したマンションにも立ち退き裁判を闘うぞ、というメッセージが貼りだされています。かなり家賃がとれるわけですから、投資の対象になるわけです。そうすると、立ち退きをさせてリフォームすれば、何倍もの家賃がとれるわけです。だからといって、アメリカでも異常な家賃といえるでしょうから、この状態が続くとは思えません。私の知り合いのなかにも、住みづらいということで、どんどんロサンゼルスや他の地域に引っ越す人も少なくありません。20年前と比べると、街をいく人や住んでいる人も随分変わってきてしまいました。これも時代の流れなのでしょうか。
 
学生が米国で留学を続けるためには?
 
さて、今回はいくつか質問をいただいていて、私がお答えするのを遅れていた移民に関する内容を考えたいと思います。いただいている質問をまとめると、
「私はアメリカの市民権を持っていて、人生のほとんどをアメリカで暮らしています。最近、日本に住む、私の姪が米国で高校に行きたいと言っています。
彼女は現在15才ですが、ある州の高校へ留学手続きをしています。 しかしその留学をしたとしても、学校に1年しか通えなく、その後は日本に帰ら無くてはならないようです。
そこで、この姪っ子を私の養女として米国に居住させたいと思っておりますが可能でしょうか?」
という質問です。
 
方法その1:学生ビザという選択肢
姪っ子さんがアメリカに合法的に滞在して勉強を続けるには、いくつか方法は考えられますが、   一番現実的なのは、姪っ子さんがご自身で学生ビザを取るということかもしれません。                 勉強をする目的があり、学費をまかなえる証拠さえ出せれば、比較的学生ビザは簡単に許可
されます。
しかし、公立の学校では、外国人がビザを持って勉強する場合には、納税をしていないという事実から、追加の学費が発生したり、就学を拒否されたりする場合もあるようなので、学校と密に話をする必要があろうかと思います。
 
方法その2:養子縁組により永住権を申請
次に、姪っ子さんが15歳ということですので、可能性として養子縁組をして、永住権を申請することが可能かもしれません
移民法によると、要件として
(1)養子縁組を満16歳までに行うことと、
(2)満16歳に至る前までに2年間物理的に保護管理下にあったことを証明する必要があります。
したがって、現在15歳であれば、満16歳になるまでに、二年間保護者として活動していた証拠をどう出せるか、書類 はどのようなものを集められるのかが鍵になります。
姪っ子さんが、たとえば、夏休みに頻繁にアメリカに来て、一度に何ヶ月も保護下で滞在し、通算して2年間であれば、申請をすることが可能になるといえます。                                                         証明は、パスポートなどの滞在記録など、いろいろな書類を集めなければなりませんが、書類がどのようなものかの制限はありません。
 
方法その3:兄弟の永住権の取得をサポート
もう一つの方法は質問者の方のご兄弟(姪っ子さんの父母のどちらか)の永住権申請をサポート   して、そして姪っ子さんが満21歳より若ければ永住権の許可を得ることは可能です                 しかし、兄弟をスポンサーしてアメリカの永住権の取得を目指そうとしても、この原稿を書いている時点で、許可までにかかる時間がなんと13年くらいかかります。
兄弟の永住権申請はプライオリティが最下位である第4位ということが影響しています。
ですので、姪っ子さんの就学を目的としているのであれば現実的なオプションではないと思います。
 
このような方法論を思いつきますが、やはり学生ビザでアメリカに来るというのが一番手っ取り早いかもしれません。
家族申請をするためには、そもそもスポンサーとなる人が永住権ではなく、市民権を持っていることが必要になりますので、かりに永住権しかお持ちでない方がスポンサーとなりたいと思えば、自身の市民権を最初に取得しなければならず、これにも1年近くかかることになります。
すこし親等が離れた家族に関するビザサポートはかなり時間がかかる可能性もあり、証拠もある程度しっかり揃える必要があるということは理解されてください。
 
日本でも桜の開花がはじまっているようですが、こちらも花が綺麗ですね。ただ、私も周りではかなり風邪が流行っていますので、皆さんもお体を大事にまた一週間春を楽しみながらがんばっていきましょう。