March 25, 2008
ずいぶん陽気がよくなってきたと思いますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。花粉症の方も多いのかもしれませんが、めげずに春を楽しんでください。
さて今回のじんけんニュースは弁護士が有罪になってしまった事件について、皆さんに考えていただきたいと思って取り上げたいと思います。
3月の初旬、2名の弁護士と2つの就職斡旋業を営む会社の役員が移民法にかかわる詐欺で有罪を認め、一人の弁護士は24ヶ月の実刑と75万ドルの罰金が科され、他の被告人も重い罪で処断される事件が連邦裁判所でありました。実刑というのは実に重いとは思います。しかし、どのようなスキームをすれば実刑になるのか、皆さんにも知っておいていただきたいと思います。
起訴されて有罪を認めた弁護士の一人は実に33件の事件で起訴されました。33の独立した実行行為があったわけですが、その内容は詐欺的な方法によって、ビザや永住権を取得した、という内容です。興味深いのは自分の法律事務所で19人雇ったことにして、ビザを発給していたということです。雇用の実態はないのに、アメリカに入国し滞在することを外国人に提供していたのですね。
スキームは結構複雑なやり方でした。移民局などがずいぶん事件を内偵していたのでしょう。まず、就職斡旋業を通して、ビザの基準に満たない経験を持つ人達を、紙のうえでは経験あり、ということにして、いろいろな書類を作成します。弁護士と就職斡旋業が共謀すれば、いろいろな書類は形にできるわけです。そのうえで、法律事務所内で虚偽の情報をもとに、移民局に対する申請書を作成し、内容にまちがいないとして、提出します。この方法を繰り返し、外国人にビザを発給していたのですが、結局ばれてしまった訳です。
捜査資料の詳細はわかりませんが、逮捕のきっかけになったのは、書類上なにか怪しいところがあったというだけではなく、たぶん内部告発または、受給者がなんらかの形で官権の目に留まったのでしょう。もちろん、このように大きなニュースにするのは、法律事務所関係者に対する萎縮効果もあるでしょうが、とにかく数が多すぎたのが敗因なのだと思います。結局就職斡旋業の役員達も逮捕され、ビザを受給した者も強制送還の対象になるわけですから、プラスになることは何もなかったのではないでしょうか。
移民法というのは、行政法ですから、通常の法律と違って法律論を交わすという面は非常に少なく、「どれだけ書類が用意できるか」という面が強調されます。もちろん、正当な方法で書類を集めることは大事なのですが、そのことばかりを気にしていると、虚偽の書類なども用意するような輩がでてきてしまうのですね。
よく私が聞くのは、悪知恵を外部でつけられて、事情をしらない弁護士が書類を作成して出してしまう、というケースです。弁護士が出し抜かれてしまうわけですね。これは弁護士からみると「間抜け」ですが、実際少なくないようです。もちろん、ビザが欲しい、永住権が欲しいという方は多いのかもしれませんが、虚偽の申請をしてまでして、アメリカに住みたい、というのに乗せられるのは、なんとも悲しいことです。
しかし、もっとひどいのは今回のような弁護士ですね。外国人の中には、本当に事情を知らずにこのような弁護士に任せてしまい、結局強制送還になってしまったケースもあるでしょう。たぶん安くない弁護士費用を支払ったりもしたのでしょう。消費者の立場からどの弁護士を選ぶか、ということは切実な問題なのかもしれません。
このような事件に巻き込まれないように、とにかく調子の良い話しに飛びつくのだけはやめてくださいね。うまい話には必ず裏があるというのは、常識です。
また次回までさようなら。
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