2017年度H-1Bビザ申請





 
またまたH-1Bビザの申請の季節になりました。
私の事務所の移民チームも現在申請対策で忙しくしています。
さて、現状を踏まえて、今年の申請について考えていきましょう。
 
H-1Bビザの概要
 
まず、2016年4月1日から申請受付が始まるのは、2017年度から有効のHビザということになります。
2017年度というのは、10月1日からですので、現在ビザを申請して、2017年10月1日から労働が許可されるビザを取るということになります。
ずいぶん先の話をしていることになります。
H-1Bビザというのは専門的な知識を持った外国人で少なくとも4年制大学を卒業しているか、それと同等の経歴が要求されています。
たとえばコンピュータ、IT関連企業がエンジニアを雇用するときに利用されています。
申請をする外国人の経歴や学歴が、用意されているポジションに合致することが前提条件となります。
H-1Bビザというのは、毎年度の新規発給上限数が法律で定められています。
2017年度も6万5千件ということになっています。このところ変わっていません。
 
発行数上限の例外
 
認められ始めた例外最近になっていろいろな例外規定も設けられていて、たとえば、修士以上の学位を米国の大学で取得した場合には、上記の発給上限数とは別に2万件新規発給されることになっています。
 
上限枠と抽選の実施
 
毎年、このビザの新規申請の受付が始まるのは4月1日なので、今年も多くの外国人がこのタイミングを狙って申請を考えています。
移民局の発表では最初の5営業日以内に6万5千件以上の新規申請が見込まれるということです。
そこで、最初の5営業日に到着した申請書については受理をして、その数が6万5千件を超えている場合には、抽選とすることにしています。
 
米国留学からOPT、そしてH-1B
 
もともと、H-1Bビザというのは、アメリカに留学している外国人学生がそのままアメリカに滞在し、働くというパターンを念頭に構築されている部分があります。
ですので、流れとしては、Fビザなどの学生ビザから、学位の取得を境として、Optional Practical Training、いわゆるOPTという労働許可付きの滞在期間に切替え、12ヶ月間合法的に滞在が可能になります。
現在は、STEMすなわちサイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学という分野で学んだ学生については、さらに延長が許可されることになりました。
そして、このOPTの期間中に、H-1Bビザの発給に結びつけるというパターンになります。学校卒業から、就職までの「就活、試用期間」をOPTは実質的に補ってきたわけです。
ところが、外国人のH-1Bビザ申請数がここに至って急激に伸びています。特に、インドや中国といった国々の外国人学生が増え、それが申請数の増加につながっています。
したがって、15年ほど前からは、かなりH-1Bビザの新規発給数の上限問題が表面化してきて、前クリントン政権のときには、新規発給数を一時的に拡大したこともありました。
現在は以前から決まっている6万5千に落ち着きました。
H-1Bビザの発給上限数が決まっているのは、保護政策に基づくものです。アメリカ人の雇用を過度に奪うことを警戒してのことです。
これはどの国でもやっている移民政策の一部ということになります。
アメリカで大学を卒業しても、アメリカで外国人が就労するには、労働許可が伴う移民法上のステータスが必要であり、主に、Hビザ、Eビザ、およびLビザが使用されます。
Eビザというのは、スポンサーとなる企業がたとえば日本などの資本が主なものであることが必要ですし、Lビザは日本の親会社、子会社などから米国の親子関係のある会社に転勤をする場合に使われます。
ですので、新卒者がいきなり、EビザやLビザをとることがなかなか難しいという現実もあり、やはりHビザに頼ることになってしまうのです。
 
実際には不安定要素も多いH-1B
 
しかし、Hビザは前述の通り、抽選で申請が可能かどうかが決まるのことが不安定要素となり、外国人学生のなかには、アメリカ以外の諸外国で働くことを主に考える人も多くなっているようです。
もちろん、発給上限数は政治の問題なのでしょうが、抽選などの振り回される外国人も大変だと思います。
一方、企業側も、新入社員が抽選にあたるか、あたっても、申請が通るのか、その結果予測が難しくかなり不安定な立場に置かれるので、嫌がったりするところも増えていると聞きます。
このような実態のなか、また今年もH-1Bの申請受付がはじまります。
日本人の新卒者も減っていると聞きます。そもそも留学生が減っている状況のようですね。
アメリカで働く機会が確保できるように、申請者の方々の抽選や申請がうまく進むように祈っております。
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作成者: jinkencom

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