報道関係者ビザの活用

Washington DC Capitol

じんけんニュース 12-02-2024 弁護士 鈴木淳司

今回は私の所属する事務所が最近取得することに成功した報道関係者用ビザであるI(アイ)ビザの活用事例についてご紹介したいと思います。

このじんけんニュースでは過去に2016年6月や2022年10月など、H-1Bが狭き門になってきていることと関連付けた内容をご紹介したと思います。

ただそのときは、あくまでもH-1Bビザの代替案として記述していただけであって、わざわざフォーカスを当てているわけではありませんでした。

今回ご紹介する事例として、ESTAやBビザの延長線上にあるオプションでIビザを捉えるということで考えてみたいと思います。

Iビザと言うのは、アメリカ国内で就労できるビザではありません。

就労ビザと比較して許可を求める際に提出する書類は少ないですし、どちらかと言うと発給に繋げやすいビザではあります。

ですので、しっかりアメリカ滞在中にどのように滞在資金を得るのか、報道活動が終わったら、いつアメリカを出国するのか、といった活動内容にフォーカスして申請書を作成していきます。

Iビザは元々「幅広く」「ある程度緩やかに解釈してもらえる」ところが利点ですが、現代の「メディア」は多種多様なものがインターネットのおかげで出現しているので、この定義についてもかなり近年移民局は広く解釈する傾向にあります。

一方で、この広い方向にメディアを解釈するために申請の要件についても日を追うごとに記述が変わり、条件が増えているのが現状です。
https://www.ustraveldocs.com/jp/ja/journalist-and-media-visa

「メディア」の定義に関しては、アメリカ在外公館の出しているものから抜粋すると:
報道性があり、概してニュースの取材や最近の実際の出来事のレポートなど報道に関連したものでなければなりません。(中略)スポーツイベントの報道は、通常、報道関係者ビザに該当します。その他の報道活動の例として次のようなものが挙げられますが、これらに限定されるものではありません。

※ニュースやドキュメンタリーの撮影をする海外報道機関の職員。
※映像の制作や配給に従事する報道機関の職員は、撮影した映像が情報やニュースの配信に使用される場合のみ報道関係者ビザに該当します。また、その費用の出所および配給が米国外であることが必要です。
※雇用契約を結んでいるジャーナリスト。これは、専門的な報道組織が発行する身分証を所持し、商業、娯楽、あるいは宣伝広告が主目的ではない情報やニュースを配信するために、情報手段や文化的手段によって作品を米国外で使用するために契約に従って活動する方です。有効な雇用契約書が必要であることにご注意ください。
※専門的な報道団体が発行する身分証を保持する独立プロダクションの従業員。
※米国ネットワーク、新聞社、その他報道機関の海外支社や子会社で勤務する外国人記者で、自国の視聴者のみに米国の出来事を報道するために渡米する方
※外国政府が管理、運営する、もしくはすべてあるいは一部政府の助成を受けた観光局の正式な代表であり、主に自国の観光情報を配信することに従事し、A-2ビザに該当しない方。
※産業技術情報。産業技術情報を配信する組織の米国事務所の従業員。
※自国の視聴者が観戦するスポーツ・イベントについて報道するスポーツ・メディアの担当者
となっています。

直近、報道を主体的に行う外国人のみならず、報道活動を「補助」する人たちにも、Iビザの許可を取ることに成功しました。

そして有効期間が5年のものが発給される運びになりました。

この報道活動を補助する方は、もともと当事務所がアシストして期限1年間のBビザを取得しました。

そしてそのBビザを踏み台にして、今回Iビザが許可される運びになったのです。

Iビザが発給されたことで、この方が所属する会社も安定的にこの方をアメリカに派遣して報道の補助をすることが可能になったわけです。

申請内容はそれなりに厳しくなってはきていますがIビザを取得できる範囲はかなり広がってきていると考えられます。

大谷選手の大活躍で一層盛んになるスポーツ報道、また、IT系に限らず様々な分野のイベントなど、Iビザの利用価値は更に高まってきていると思います。

またメディアやエンタメ業界では未だに古い習慣なども多く、誤った情報が噂レベルで広がり、「Iビザは殆ど取れない」などという話も耳にしたりします。

上記にペーストしたリンクのようにアメリカ政府が出している指針をよく研究して、経験が豊富な法曹とよく協議をして、ぜひ渡米のための一ツールとしてIビザを考えられると良いと思います。

作成者: jinkencom

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