法律ノート 第1288回 弁護士 鈴木淳司
November 9, 2021
日本では電車内で火をつけて、悠々とタバコ吸っている輩がニュースになっていましたが、アメリカだったら即射殺じゃないですかね。
アメリカの銃社会はネガティブに考えられている部分もありますが、自分で自分のことを守るのだ、という考えが根強いわけで、日本とは考え方が根本的に違うなぁ、ということをこういうニュースで感じます。
最近ではドライブレコーダーができて、あおり運転など危険なことをしてくる人がニュースになる日本ですが、アメリカだったらお互いに銃を持っているかもしれない、と牽制するものです。
銃の存在があるかどうかで、犯罪の形態も変わるのかもしれませんね。
アメリカ永住権と市民権の違い(2)_1288
さて、前回から考えてきた「アメリカ人の夫と一緒にカリフォルニア州に住んでいます。すでに子どもたちは巣立って、夫と二人で暮らしています。私は日本人で夫と結婚する際に永住権を取得しています。現在も永住権のままです。コロナ禍になる前は毎年日本に里帰りをしていたのですが、コロナ禍のなか、身内がコロナに罹患し亡くなったこともあり、これから老後はアメリカでゆっくり夫と過ごそうと思うようになりました。現在持っている永住権をアメリカ市民権にするべきなのか迷っています。市民権を取得するべきなのでしょうか」という質問を続けて考えていきたいと思います。
前回は、アメリカに再入国する際、すなわち移民法の観点からのアメリカ市民権、永住権の違いについて考えました。
今回は、アメリカに腰を落ち着ける場合にどのような違いがあるか、ということについて考えていきたいと思います。
呼び寄せられる家族の範囲
まずは、また移民法の観点ですが、アメリカ市民権保持者と永住権保持者がたとえば家族をアメリカに呼び寄せる場合、範囲の違いが生じます。
永住権保持者の場合、配偶者ビザの優先度も低いですし、家族のメンバーの永住権申請も優先度が低いということになります。
ただ、ご自身だけに限ると移民法の観点からはアメリカ国籍であろうが、永住権であろうが大きな違いがないように思います。
選挙権と行政サービス
一方で、アメリカに滞在を続けるうえで、アメリカ国籍である場合と永住権しかない場合とでは違いが生じる場面が生じるときもあります。
永住権保持者は、アメリカの国政には参加できないので選挙権はありません。
アメリカ国籍があるとこのような制限がなく、選挙に参加する、ことができます。
また、行政サービスに関して、アメリカ国籍がないと利益を得られない場合もあります。
永住権保持者の権利をできるだけ制限しようと前政権はがんばっていましたね。
永住権保持者だけであると、時々の政治によって権利や受けられるサービスが制限される可能性は十分にあるわけです。
二重国籍の課題は残る
アメリカ国籍を取った場合(帰化した場合)、アメリカでは二重国籍を認めていますが、日本では国籍法上、認めていません。
出生によってアメリカ国籍を取得した場合ではなく、自分の選択でアメリカ国籍を取得するわけですから、自動的に本来であれば日本国籍を失うことになります。
ただ、二重国籍の問題は、今日本でも訴訟になっていますし、難しい問題ではあります。
ここでは深入りしませんが、アメリカ側の観点からみると、二重国籍は問題にはなりません。
また、この国籍問題は別の法律ノートで考えたいと思います。
外国人か市民か
以上のように、質問者が、かりにアメリカにこのまま滞在し続けていくうえで、市民権を取得するのか、永住権を取得するのか、あまり生活上は違いがないように思います。
もちろん、選挙に参加するとか、行政のサービスをうけたいという希望がありますが、通常の生活で何か違いがでてくることはないと思います。
しかし、永住権は外国人であるというステータスは変わりませんので、アメリカにこのまま滞在する上で、アメリカ国籍を取っておけば、アメリカの滞在は盤石なものになると思います。
いったんアメリカ国籍をとっても、元日本人であれば(日本国籍を放棄した場合)、日本に永住することは可能です。
ですので、将来日本に戻るということも問題はないと思います
季節替わりですね。
コロナが減ってきたといっても、油断せずに体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
次回また新しい質問を考えていきたいと思います。
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