法律ノート 第1531回 弁護士 鈴木淳司
July 6, 2026
7月4日の独立記念日を迎え、アメリカは花火や祝祭で賑やかな季節となりました。「夏真っ盛り」ですね。
カリフォルニア州では、新法の施行日(Effective Date)は原則として1月1日とされていますが、州の会計年度が始まる7月1日に合わせて施行される法律も少なくありません。本年も7月1日付で、私たちの生活やビジネスに直結する重要な新法が数多く施行されました。
今回は、読者の方からのご質問に対するお答えを休ませていただき、今回と次回2回に分けて、特に重要と思われる新法を取り上げたいと思います。
今回はまず、食品・消費者保護と労働・税に関する新法を考えましょう。
チェーンレストランにおける食物アレルゲン表示の義務化-SB68
「ADDE法(Allergen Disclosure for Dining Experiences Act)」と呼ばれる上院法案(Senate Bill、SB)68は、全米で20店舗以上を展開する同一ブランドのレストラン(フランチャイズやいわゆるゴーストキッチンを含みます)に対し、メニュー品目に含まれる主要な食物アレルゲン、すなわち牛乳、卵、ピーナッツ、木の実、魚、甲殻類、小麦、大豆、ゴマの九品目を、物理的なメニュー上、またはQRコードやアレルゲン一覧表等のアクセス可能な代替手段によって、書面で開示することを義務付けるものです。州レベルでチェーンレストランにこの種の開示義務を課すのは全米で初めてです。飲食店の経営に関わっておられる方は、まずご自身の店舗がこの「20店舗以上」の要件に該当するかを確認し、該当する場合には速やかにメニューの改訂等の対応をとる必要があります。
食品の日付表示の統一-AB660
下院法案(Assembly Bill、AB)660は、食品廃棄物(Food Waste)の削減を目的として、包装食品の日付表示を統一する消費者保護法です。これまで消費者を混乱させ、まだ食べられる食品の廃棄を招いてきた「Sell by(販売期限)」という、実態としては、小売業のために設定されていた表示は禁止され、製造者は、品質の目安を示す場合には「Best if used by」、食品としての安全性を示す場合には「Use by」という統一された文言を使用しなければならなくなりました。日本における「賞味期限」と「消費期限」の区別に近い制度が導入されたと考えると分かりやすいと思います。
最低賃金の引き上げ
7月1日付で、州内の多くの市・郡において最低賃金(Minimum Wage)が引き上げられました。例えば、ロサンゼルス市では時給18.42ドル、ロサンゼルス郡(未編入地域)では18.47ドル、パサデナ市では18.57ドル、サンタモニカ市では18.47ドルなどとなっています。
さらに、業種別の特別最低賃金として、大規模な病院システム(フルタイム換算1万人以上)や透析クリニックで働く医療従事者の最低賃金は時給25ドルに引き上げられ、ロサンゼルス市、グレンデール市、ロングビーチ市等のホテル・ホスピタリティ労働者については、時給25ドルから26.50ドルまで引き上げられています。
雇用主の方は、事業所の所在する自治体の条例と業種別の特別規定を必ず確認してください。
最低賃金の不払いは、未払賃金・利息の支払いのみならず、罰金や弁護士費用の負担といった重い制裁につながり得ます。
ガソリン税の引き上げ
州のガソリン物品税(Gasoline Excise Tax)は、法律によりインフレーションに連動して毎年7月1日に自動的に調整されます。
本年は1ガロンあたり63.4セントへと引き上げられ、引き続き全米で最も高い水準となりました。
ディーゼル燃料についても、46.6セントから48.2セントに引き上げられています。
日々の通勤や物流コストに直結する改定ですので、事業者の方は小売価格等への転嫁も考えながら留意されるとよいと思います。とにかくカリフォルニア州はガソリンが高くて閉口します。
以上のように、細かいですが、重要な法律が施行されています。
特に事業者の方は、インフレとの連動に気を払いながら新法に注意していかなければなりません。次回続けて考えていきたいと思います。
天気が良くなると虫刺されも多くなりますが、日焼けだけでなく肌を守りながらまた一週間がんばっていきましょうね。
このシリーズを読む
- 第1回:カリフォルニアの新法-食品表示や最低賃金_1531
- 第2回(本記事):カリフォルニアの新法-公立校でのスマホ制限他_1532
関連する米国法律リソース
- SB68 – 食物アレルゲン開示法(Allergen Disclosure for Dining Experiences Act)条文(California Legislative Information)
- AB660 – 食品日付表示の標準化 条文(California Legislative Information)
- カリフォルニア州食糧・農業局 – 食品日付表示(Food Date Labeling)解説(CDFA)
- カリフォルニア州労使関係局 – 最低賃金FAQ(California DIR)
- ロサンゼルス市 – Office of Wage Standards(最低賃金・ホテル労働者賃金)
- ロサンゼルス郡 – 事業者向け最低賃金(LA County DCBA)
- カリフォルニア州労使関係局 – 医療従事者最低賃金(Health Care Worker Minimum Wage)
- カリフォルニア州税・料金管理局 – ガソリン・ディーゼル物品税(CDTFA)
免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の個別案件に対する法的助言ではありません。記載内容は執筆時点(2026年7月)の情報に基づいており、法律や規制は変更される可能性があります。
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