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著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(2)_1155





法律ノート 第1155回 弁護士 鈴木淳司
April 9, 2019
この冬、雨が非常に多かったので、ゴルフ場に行くとフェアウェイがぐちゃぐちゃな場所が多く、せっかく天気がよくなってきたのに泥んこ遊びのようになってしまいます。もともと、大量の雨を想定していないゴルフ場が多いのかもしれませんが、コンディションが落ち着くまでかなり時間がかかりそうです。水不足は困りますが、降ったら降ったで土砂崩れや道路のひび割れなど問題が起こるものです。人間もそうですが、天気もバランスが取れているのが望ましいですね。皆さんは、春の外出を楽しまれていますか。

著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(2)_1155

さて、前回から考えてきた、「ベイエリアでスタートアップ企業に参加している者です。最近、当社のウェブサイトについて、第三者から当社が使用している写真や画像が不正使用なので、使用を差止めるように警告文が来ました。ウェブサイトの作成段階で、意図せず使用していたような形なのですが、すぐに使用はやめました。今後、損害賠償などがくる可能性はあるのでしょうか。また、このような問題を避けるため、どのような対応をしていくのか教えてください。当社は、まだ規模が小さく弁護士に頻繁に相談することがファイナンス的に難しいのです。」という質問を続けて考えていきましょう。

出どころを明確に。著作物への配慮

まず、簡単に前回のおさらいですが、そもそもウェブサイトを作成する際に、著作権や商標の使用には気をつけなければなりません。
出処のわからない、写真、描画、ロゴなどをむやみに使わないよう、社内でも気をつけなければなりませんが、外注をするときにも契約書において、著作権の不正使用について、免責条項など責任の所在を確認しておく必要があります。

不正使用の警告文-Cease and Desist Letter

このように気をつけていても、不正使用の問題は発生します。また、なかなか著作権についても権利関係が複雑な場合があり、紛争が避けられない場面も出てきます。
通常、著作権者が、侵害者に対して、不正使用差止・停止を書面により警告してきます。
この書面を俗称で、テークダウン通知(Take down notice)といいますが、法律業界では、Cease and Desist Letterと呼びます。
警告文に「Cease and Desist」という言い回しが入っていれば、法律的には、まず間違いなく「何かをやめるように」要求している内容だといえます。
この警告文は、侵害者が今回の質問にもあるように「知らないうちに他人の著作権を使ってしまった」という場合もあるので、侵害であるという事実をはっきり伝える役目を負います。
いったん伝えれば、その後は、知りながら(法律用語では「悪意」といいます。)不正使用を継続しているということになるからです。
 

警告文への対応は必須

次回考えますが、悪意で著作権を不正使用していると、損害賠償の程度が変わってきますので、警告文が来た時点で、必ず対応をする必要があります。
ちなみに、一般的な意味と違うのが、悪意と善意という法律用語です。法律用語で悪意というのは、ある事実を知っていること、善意は知らないことを意味します。アメリカでも、善意はGood Faith、悪意はBad Faithと言います。
それから、警告文ですが、単に不正使用がある、と言ったぼんやりした内容では法律的には不十分である可能性が高いです。不正使用を警告するということは、警告しても侵害者が自発的に使用をやめない場合、訴訟で争うことになります。
この訴訟をするには、必要最低限な武器が必要になりますが、警告文もその一つです。
そして、公の場にさらされて、争われることになっても耐えうる内容でなければならないのです。決まった形はありませんが、少なくとも、
(1)著作権の詳細
(2)著作権者から侵害者に対して(1)に関する不正使用の事実を告げること
(3)どの法律で著作権が守られているのか(連邦の法律か州の法律か)
(4)不正使用をやめること
などが入っていなければなりません。
インターネットで雛形などがいくつも用意されているので、それを参照にするのも悪くはないかもしれませんが、少なくとも訴訟を前提に行っている警告文であることを理解しておく必要があります。
警告文が届いた場合、著作権の侵害があると判断した場合、すぐにその著作権の使用をやめることが、損害賠償の可能性を限定する最善策になります。
次回著作権侵害の損害賠償についてざっと全体像を考えていきます。
花粉もすごいですが、天気を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(1)_1154





法律ノート 第1154回 弁護士 鈴木淳司
April4, 2019
「令和」という日本の元号が決まりましたね。美しい名前だと思います。「和」というのは日本の文化の根底にある考え方ですね。名前負けしないような時代を日本人としてつくっていきたいものです。ただ、元号に意見する有識者会議をみると、私の旧知の方もいらっしゃいましたが、今後世代を担っていくもっと若いひとも参加できたら良かったのに、とも思いました。まあ、素敵な元号になったのですから、まずはお祝いでしょうか。
しかし、今後西暦の算出の仕方が、昭和、平成、令和をまたいで、複雑になりそうな感じですね。皆さんは新元号に馴染めていますか。

著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(1)_1154

さて、今回から皆さんから新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
頂いている質問をまとめると「ベイエリアでスタートアップ企業に参加している者です。最近、当社のウェブサイトについて、第三者から当社が使用している写真や画像が不正使用なので、使用を差止めるように警告文が来ました。ウェブサイトの作成段階で、意図せず使用していたような形なのですが、すぐに使用はやめました。今後、損害賠償などがくる可能性はあるのでしょうか。また、このような問題を避けるため、どのような対応をしていくのか教えてください。当社は、まだ規模が小さく弁護士に頻繁に相談することがファイナンス的に難しいのです。」というものです。
最近でも、ベイエリアではたくさんのスタートアップ企業ががんばっているようで、若い人たちのエネルギーもすごいものです。お金がお金を呼び、家賃等の高騰には閉口しますが、それでも夢を持ってがんばる人たちがたくさんいるのですね。
さて、今回の質問ですが、2つ大きな部分があります。一つは、著作物の不正使用について損害賠償が生じるのか、という点と、そのような法的なトラブルに巻き込まれないためには、何をしておくべきなのか、という点があります。
まずは、今回、今回のようなトラブルに巻き込まれないようにするにはどうしたら良いのかざっと考えていき、その後、損害賠償を請求される可能性も考えていきたいと思います。
 

ウェブサイトのコンテンツには細心の注意を

さて、ウェブサイトなどを人に任せてつくってもらうようなときもあるでしょうし、今どきは社員がつくる場合などあるでしょう。
どのような場合でも、他人の著作物にはかなり気をつけなければなりません。ウェブサイトなどは、公に情報を発信する場ですから、不特定の第三者がウェブサイトの内容を確認することが可能です。また、埋め込まれたデータなどから、どこから著作物が出ているのかなども簡単にわかりますね。
最初にウェブサイト等に、具材を使用する場合、その具材の出所は確実に押さえておかなければなりません。
基本的に自分で作成していない画像等は、他人の著作権が発生していると考えたほうが良いと思います。たとえ、コピーライトの表示(たとえば、All rights reservedなど)がついていないとしても、著作権は誰かに存在する可能性が高いです。ですから、画像、イラストなど他人のサイトなどから簡単に拝借するのはよくありません。
自社でデザインして生み出すとか、著作権の使用許諾を得てから使用するという形にするべきです。著作権以外にも、トレードマーク(商標)についても、他社の商標を拝借して、改造するなどということも商標権の侵害と考えられる場合も多くあります。
とくに、企業の業績が良くなってくると、競争している他社が、商標などを使って攻撃をしてくるケースも戦略としてありえます。かりに、ウェブサイトのデザインなどを外注する場合には、必ず著作権等の知的財産権の侵害があった場合には、受注側の責任になるように契約の条項をいれておきたいものです。

著作権フリー素材にも注意

次に、ウェブ上には、多くの著作権フリーの具材が置かれていますし、一定の手続きをとれば使用が可能になるものもあります。
このような許可があればつかえる具材については、必ず事前に指定された手続きを経て、そのやりとりについては、電子的な形でも良いので保管しておけば良いと思います。
,,,,単に、著作権フリーです、と書かれていても、正当な手続きを経ていない使用については、著作権の侵害になりかねませんので注意が必要です。また、著作権をフリーに使っても良い、といっても商用の使用については原則許さないという場合もあります。
その場合には、商用かどうかあとで争うのではなく、最初から使用について著作権者に許可をもらうようにしたいところです。
長くなってきたので次回ここから続けていきましょう。季節替わりで体調を崩される方も少なくありません、春を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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