弁護士 鈴木淳司
旧暦の正月ということで、中国人が多いサンフランシスコでは、至る所で普段見られない人のにぎわいがあります。日本でも春節や「数え年」といった風習は残っていますが、正確にはいつから西暦で祝うようになったのでしょうか。
さて、最近日本からも米国に対する投資の案件が増えています。そういった案件が増加すると同時に、日本人も米国に駐在したり、長期出張をしたりといったことがパターン化してきます。今回は、投資に伴い米国で駐在や長期滞在する場合に、必要となるビザの種類について概観しようと思います。
ビジネスに使用するビザというのは、種類が限定されます。これは、日本に来る外国人も同様で、国によってばらつきはありますが、入国を規制をしようという考えが根底にあります。
なぜ規制が必要かといえば、外国人が大量に流入して自国民の仕事を奪うと、自国が成り立たなくなるからです。ですので、自国民の仕事をある程度保護しつつ、投資や優秀な技師は歓迎しようというのが、ビジネスにおけるビザのあり方です。
アメリカはそもそも移民でできた国なので、他国に比べてビジネスビザの整備は行き届いていると言えるでしょう。米国で日本人が働くにはいくつかのパターンがありますので、その実際のパターンに従って考えていきましょう。今回は非移民ビザ系の話にとどめ、永住権の申請については別途考えましょう。
まず、米国において留学をしている学生が乗るパターンがあります。もちろん、後述するEビザLビザのパターンもありますが、新卒の大学生、大学院生は、学生ビザ(Fビザ)の延長として、プラクティカルトレーニングという就労可能な期間が12ヶ月間与えられます。この期間は、自分の専攻した学科の延長として実体験ができるという趣旨で設けられていますが、実際には専攻は問われないため、12ヶ月間就労ができる期間といえます。
そして、プラクティカルトレーニング中に、希望の就職先を見つけて、その就職先をスポンサーとしてH-1Bビザを申請します。このH-1Bビザは専門職ビザとも言われますが、基本的に自分の専攻してきた分野に就職する場合に許可されるビザです。最長6年間米国に滞在しつつ、就労できます。
とすると、さかのぼってプラクティカルトレーニングの期間において、大学や大学院で専攻していた分野の企業で働き、その延長でH-1Bビザの申請をするのが理想であると言えます。
H-1Bビザは近年、新規申請分の発効上限数が決まっているために、明らかに順番待ちの状況にあります。したがって、新規申請を考えられている方は、先手を打って申請を考えなければなりません。そうすると逆算して、大学在学中にスポンサーとなるような企業を早めに確保することが、重要となりそうです。
次に、米国の大学を卒業していない日本人で、駐在や長期出張される方について考えてみましょう。これらの方にもパターンは存在します。
まず、考えられるのはBビザです。通常ビザなしの状態で米国に滞在するには、ESTAというオンライン申請を通して、最長で90日間米国に滞在できます。しかし、子会社の立ち上げや、買収をした会社の管理などを考えると、90日間では足りない場合がほとんどだと思います。こういった場合90日間以上の米国滞在を実現するには、Bビザが適しています。Bビザは6ヶ月間滞在が許され、米国に滞在しつつ、更に6ヶ月間更新が可能です。Bビザは最長10年間の発給がなされますので、一度取得すれば、米国に永住する意思が認められない限り、長期滞在が可能になります。
ただし、Bビザをもっていても米国で就労して、賃金を受け取ることができません。したがって、日本にある企業から給与を受け取り、米国における立ち上げ業務を行うためのビザという位置づけになるでしょう。
Bビザの延長として、企業が米国でいわば自立し、稼働することを想定したいくつかのビザが考えられます。Lビザというものがあり、日本の企業から米国子会社、支店等に一定の技術者として送られる場合に使われます。Lにも種類がありますが、経営職の場合最長7年、技術職の場合最長で6年間、許可されます。
また、Eビザというのもあります。日米の取引の質、量について許可される場合と、投資の額によって許可される場合があります。EおよびLビザの申請は複雑です。親会社の会計等の資料も必要になりますし、申請者本人の経営者としての経歴も必要になります。とにかく、現在H-1Bビザの新規発給が数量的に限定されているので、EビザやLビザの申請が活発になっている状況です。
上記が一般的なビジネスビザのパターンです。ですので、永住権がなく、米国に滞在しているビジネス関連の方は、B、E、Lビザということがほとんどであろうと思います。
その他に、ビジネスビザとして最近注目されているものに、Oビザがあります。優れた経歴を持った一定の外国人に許可されるものです。申請者が賞を取ったり、業界で認められたりした場合に発給されますが、変則的とは言え、最近は活用されています。
また、ジャーナリストなどはIビザがありますが、就労には制限があります。
これらに加えて、スポーツや芸能などの分野ではPビザというのも考えられますが、一般的にビジネスビザとは言えないと思います。
ここまで、みると一般的なのは、B、E、Lのどれかのビザということになるでしょう。それぞれ特徴がありますので、今回の一般論を前提にして、どのビザが良いのか投資の戦略としていただければと思います。次回また新しいトピックを考えていきましょう。
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