法律ノート 第1144回 弁護士 鈴木淳司
Jan. 19, 2019
カリフォルニア州における2019年新法・法改正について(2)_1144
夏には火事で大変なことになった北カリフォルニアですが、この数日嵐がひどく、私の寝泊まりする地域の各所で停電となってしまいました。まだ復旧せず不便な暮らしをしていますが、このような状況に陥ると、電気自動車が流行っていますが、非常時に大丈夫なのかと思ってしまいます。皆さんは嵐の影響は大丈夫だったでしょうか。
さて、前回は労働関係法のモデルチェンジ2019について考えました。今回は、他の分野のカリフォルニア州法改正についてさらに考えていきましょう。
2 交通法規
車の運転はアメリカ生活では切り離せないものですが、いくつか改正点がありますので、みていきましょう。
まずは、飲酒運転ですが、2度目以上の有罪、また1度目でも事故を生じさせた場合には、呼気を吹かないとエンジンがかからないイグニッションロックの設置が義務付けられました。設置期間は1-4年です。また、一度目の違反であっても、裁判所は裁量により6月までの設置をすることができます。機械も進歩しているので、法律で明記することにしたのです。
機械の進歩に合わせて、新設されたのが仮ナンバーに関する義務付けです。今までは車を買うと、名義変更の期間、ナンバープレートがない状態でカリフォルニア州では走行が可能でした。窓に、名義変更に関する書類をくっつけておくことが一般的だったのです。
しかし、近年では、有料道路の自動化、監視カメラの活用などの点から、ナンバープレートがない状態での走行が問題視されていました。ベイエリアには橋がいくつもかかっていますが、ナンバーがない車がスルーしているという光景を皆さんも見たことがあるのではないでしょうか。2019年から、車を売るディーラーは番号のついたテンポラリーナンバーを車につけなければならないという法律ができました。
もうひとつ交通法規に関する新法を取り上げると、電気スクーターが多くなってきましたが、18歳以上であればヘルメットを被らなくて走行しても良いことになりました。往年のイージーライダーの復活でしょうか。今までは、25マイル制限だったのを、場所によっては35マイル制限まで引き上げるという法律も盛り込まれました。
3 刑事関係法規
(1) 少年として裁かれる年齢が12歳に引き下げられました。殺人と強姦罪に問われている場合には、12歳以下でも少年裁判となります。また、16歳以下の少年を成人として裁判することができなくなりました。したがって、16歳以下の少年を少年鑑別所ではなく刑務所に送ることはできなくなりました。
(2) 警察の持っている情報の可視性が強化されました。警察官が身につけているカメラや音声を入手する方法が広がりました。また、公は警察の暴行、虚偽、性的暴行などについて情報を入手する手段が定められました。
(3) ドメスティック・バイオレンス(重罪・軽罪を問わない)で2019年1月1日以降有罪となった場合、銃火器を所有することは一生できなくなりました。
(4) 逮捕勾留された場合、保釈金を決めるシステムが一新されます。アルゴリズムをつかって、保釈の可否、条件が決められることになります。このため、現金での保釈システムが凍結されます。
4 生活関連
特に健康や環境を重視した新法や法改正がなされました。カリフォルニア州はこういったエリアに敏感なので、他の州や国にも波及するものもいくつかあるかもしれません。
(1) ペットショップに対する規制ですが、動物愛護センターや支援グループ由来でなければペットとして販売してはならないという規制をアメリカではじめて法律化しました。悪質なブリーダー対策です。すでに、2017年から法律化することは告知されていたので、ペットショップは十分な準備期間が与えられていたとされています。罰金も課されています。
(2) 児童肥満化対策なのですが、いわゆるレストランで「お子様ランチ」にセットされる飲料は標準設定として水かミルクとして、ジュースや清涼飲料水は組み込んではならないとされました。なんでも甘ければよい、という考えへの警笛ですね。しかし、一方で甘味料が足されていない味付きの水は許されています。
(3) カリフォルニア州のレストラン(ファーストフード店は除く)では使い切りのストローを標準設定で出すことが禁止されました。客から頼まれれば出してもよいのですが、いきなり出してはいけないのです。これは、環境問題として近年取り上げられていて、亀などが飲み込んでしまうことを減らす目的があります。
(4) ウイスキー蒸留所(飲ん兵衛の人たち)に朗報なのですが、試飲をしない訪問客にウイスキーを販売することが許されることになりました。ワイナリーと同じようなサービスが可能となったのですね。近年クラフトウイスキー人気が盛り上がっているので、それに合わせた法改正なのでしょう。
(5) 2018年にホームメードのパイを売った女性が訴追されて、話題となりましたが、カリフォルニア州は法改正で対応しました。市、または郡は独自の規制を設けて、ホームメードの食品を販売することができるとしました。実際にホームメード品を販売したい人は販売する地、および料理する地のローカルの法律を確認する必要があります。
(6) これも、サンフランシスコでは大人気なのですが、フードトラックや路上食品販売について州は一般的に「許す」としました。ですので、カリフォルニア州では一般論としいて、フードトラックや露天商は問題ない、ということになります。ただし、市や郡が交通の観点などから、制限をすることは許しています。一方で、全面的に禁止をすることは許されなくなりました。
5 その他
(1) 州立の公園で、犬の入園が制限される場合があり、入園の可否を明記しなくてはならなくなりました。
(2) 2018年の大型火災が起こって電力会社であるPG&Eが多額の補償をしなければならなくなることから、一部消費者に転嫁することが法律で許されました。
(3) 運転免許証に性別を不表示(ノンバイナリー表示)することが認められました。これは、2017年の法律改正を受けたものです。
(4) サーフィンがカリフォルニア州のオフィシャルスポーツとなりました。
他にも色々な法改正や新設がありますが、この辺にしておきましょう。
次回からまた皆さんからいただいた質問を考えていきたいと思います。また、一週間がんばっていきましょうね。
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