法律ノート 第1008回 弁護士 鈴木淳司
May 23, 2016
お食事中の方には申し訳ないのですが、最近アメリカでは、洋式便所でも和式便所のように膝が上がった状態で用を足すための足置き台が流行っているようで
す。洋式便所でも、和式便所に近い姿勢にしようというものです。どうも、それを使ったほうが腸以下の問題が少なくなるという研究がされているのです。現在なくなりつつある和式便所ですが、実は人体には理想的だったのかもしれませんね。
事務所移転とサブリース契約[3]_1008
さて、前回の続きで「できれば数ヶ月中に、現在のオフィスから新しいオフィスに移ろうと思い、値段的にリーズナブルなサブリースを探しています。サブリース契約を結ぶ場合に気をつけた方が良い点を教えて下さい」という質問を続けて考えていきましょう。
今回は具体的に気をつける点を挙げていきます。
サブリース期間を確認する
前回までで、「サブリース」の位置づけについて理解していただいたと思います。
そこで次に、サブリースの期間について、よく確認する必要があります。
通常、もともとのリースよりも短く、場合によっては1年しか残っていないという場合も考えられます。その一年間だけサブリースした場合には、その後さらにリースできるのかどうかは、まったくわかりません。もともとのリースの内容にもよりますし、もともとの賃貸人の意向にもよるわけです。
したがって、サブリースをした場合、その後の更新などについての予測をしておかないと、短期間でまた引っ越しをするということになりかねません。もちろん、ビジネスがかなりのスピードで大きくなっている場合には、逆に渡りに船かもしれません。
サブリースの金額を確認する
次にサブリースの金額について確認する必要があります。元リースとくらべて高額なのか安いのか、ということがチェックポイントになります。
これは経済の状況に大きく左右されますが、不動産業者に入って貰えれば、その周辺の物件に関する情報もあるでしょうから、できるだけ交渉をするべき部分だと思います。
下り坂の経済状況であれば、もともとリースしている賃借人ははやく家賃を払わなくて良いようにしたいと思っているわけで、できるだけコストを減らしたいと考えたりしているわけです。
賃料の支払先は誰か
第3点目ですが、家賃の支払に関して、誰に支払うことになるのか、よく確認したうえで、できればもともとの大家さんに支払うようにした方が良いです。
通常、大家さんも家賃の支払については直接の支払を求めるので問題はありません。
しかし、場合によっては転貸人に一旦支払、転貸人がもともとの大家さんに支払うというアレンジメントも考えられます。
このアレンジメントは自分が支払をしても、転貸人が支払をしない場合には、大家さんから立退裁判を提起される可能性があり、不意の不利益を被りかねません。
ですので、家賃はできるだけ直接もともとの大家さんに支払うということでアレンジをしたほうが良いと思います。
保険金額は適切か
第4点目ですが、保険については気をつけて考えなければいけません。
通常商業用物件の賃貸は、保険を求められます。色々な種類の保険があり、契約書によっても違いますが、賃貸物件で、事故が起こった場合、火災などが起こった場合などをカバーする保険が必要になります。
もし可能であれば、もともとの契約書に記載されている金額よりも若干高い金額をカバーする保険に加入することがよいかもしれません。
かりに、何か災害等が発生した場合、もともとの大家と転貸人が両方「敵」となる場合があり、保険額に余裕がある方が安心なわけです。
付随契約にも注意する
第5点目ですが、転貸時に、もともとのリースに付随する契約も確認しておくべきです。
たとえば、駐車代金が別になっている場合もありますし、ごみ処理やクリーニングなどの代金なども別に収めるような形になっているかもしれません。何がサブリースに含まれ、何が含まれていないかをまず確定し、どのような追加の費用がかかるのか、どのような権利をもらえるのか、サブリースをサインする前に確認しなければなりません。
賃貸借契約以外に賃貸物件に付随する規則
第6点目ですが、賃借する場所によっては、様々な規則が定められている場合があります。
これらの規則というのは、転借人と転貸人の間だけで有効となるわけではなく、あくまでも賃借場所の使用をする場合に付随してきます。
したがって、転貸人の言うことをそのまま信用するべきではなく、賃借場所に問い合わせ、最新の規則を手に入れて内容を確認しておく必要があります。
以上が、具体的にサブリースで気をつけるべきポイントではありますが、他にも契約書を見ればたくさんポイントがあると思います。
また、質問がある方は、ぜひ法律ノートまで質問をいただければと思います。
ベイエリアは夏のように暑かったり、涼しくなったり、天気の変化が著しいようですが、体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。