日本では入学式や入社式の話題も収まりつつありますね。この時期、アメリカでは税金関連が忙しい時期ですので、私の顧問先の会社も、法律の問題から会計・税務の方に感心がいくので、通年はほんのちょっとだけ一息つけるのですが、今年は本当に忙しく働いています。外は青空で澄み渡っているんですけどねぇ。皆さんはお元気ですか?
さて今回のJINKEN.COMニュースは、現在アメリカ議会に提出されている法案のなかから、皆さんにも関係しそうなものをピックアップしてみたいと思います。そしてこれは実際に法律になっているものではなく、現在議員立法として議会に提出されている段階なので、実際に使われている法律だとは理解しないでくださいね。今回、法案を紹介したいのは、現在どのような考え方がアメリカの議会で出ているかというトレンドを感じていただくことで、将来の移民法の姿を少しでも見ていただければ良いと思ったからです。
まずH-1Bビザに関して現在上程されている議案について見ていきましょう。法案第4166号によると、アメリカ国内の大学で修士以上の学位を得た外国人に対し、各年20,000人を上限にして、H-1Bの特別枠をつくろうという動きがあります。しかし、同時に以前H-1Bを取得する際に必要であった通常のビザに加えて、更に1000ドルが申請に必要になります。驚く無かれ、さらにこの1000ドルの追加申請料に加え、500ドルの”Fraud Detection and Prevention Fee”、つまり移民詐欺を事前に検知したり、防ぐための費用を各申請者に支払わせるという法案内容になっています。
私見ですが、H-1Bの枠を拡大するということは歓迎だとは思いますが、その拡大に対して今までよりも高い費用を課すというのは、雇用者にとっても外国人本人にとっても重荷になるだけであり、テロ問題から発生した外国人のコントロール問題が波及しているだけのような感は否めません。抜本的な解決策にはほど遠いというのが、この法案を読んだ感想です。また教育を受けたものを優遇するということはH-1Bの趣旨にある程度合致していますが、アメリカの大学を卒業した者を優遇するということは外国で名をなした著名人をカバーできずに優秀な人材を逃してしまう可能性があり、H-1Bのそもそもの目的が達成できなくなってしまうかもしれませんね。
次はビザウェーバーについての法案です。移民行政側は議会に対して、ビザウェーバーでアメリカに入国する外国人にたいして、マシン・リーダブル(機会読取式)のパスポートを持つように要求する法律(今年、2004年の10月26日が施行予定)を二年間延期するように法律の修正を求めました。ガイドラインがビザ・ウェーバーで入国を許可される国々に行き渡ってない現状を鑑みての修正要求だと考えられます。日本もビザウェーバーで入国を許可されている国の一つです。
また、ビザ・ウェーバーでアメリカに入国する外国人に対しては、今年、2004年の9月30日から、指紋採取および写真撮影を要求することが決定しています。これにともなって各国から不満の声が聞こえてきますが、アメリカ側は(1)情報を積極的な諜報活動等に利用しないこと、(2)アメリカ入国前に各国である程度の審査が済むような仕組みをつくること、さらに(3)入国の際、時間がかかるのを審査官の増加などによって防ぐことなどに対して努力をすることを目標としています。しかし、どこまで現実になるのか、現在ではなんとも言えないでしょうね。
もちろん様々な法案や修正法案が提出されていて、以上はほんの一部です。皆さんに関係があるのではないかと思われる箇所を抜粋して考えてみました。また、法案が現実化しそうになったら、JINKEN.COMニュースで考えていきたいと思います。
それでは次回まで、さようなら。
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