米国内での永住権申請時の注意点-非移民ビザとの関係―

 




 
 
移民ブログ読者の皆様、あけましておめでとうございます。
今年もブログを続けていきたいと思いますので、ぜひ宜しくお願いいたします。
MomsUSAおよびJINEKN.COMスタッフもがんばっているのですが、「じんけん」というだけに、移民法以外の分野にもサービスを広げていくのが自然であろうという意気込みもあるようです。皆様のお役に立てるようにがんばっていきたいと思います。
日本人の働き方の変遷と永住権
さて、最近米国で働く日本人の方のトレンドをみると、昔のように一つの会社にずっと勤めるというよりは、転職を積極的にされているパターンが多くなってきています。特に、IT系の企業間の転職は顕著のようです。
このような傾向があると、就業ビザをもって働く日本人にとっては、転職において仕事の内容だけではなくビザのことが問題になる場合があります。
すなわち、就業ビザは基本的にスポンサーとなる企業があってはじめて発給されるものですから、スポンサー企業が変更されると、基本的に就業ビザも新たに申請をする必要がでてきます。
そこで、米国に長期滞在することを考えている方は、就業ビザを保持しつつ永住権を取得することになります。永住権を持っていれば、ビザのようにスポンサーが限定された形で就業するのではなく、基本的にどこで働いてもよくなるため、転職がしやすくなるわけです。
就業ビザと永住権申請
永住権の申請要件は今回考えませんが、就業ビザを保持しつつ米国内で永住権を申請する方が留意するべきポイントがあります。
永住権を得るにはそれなりに時間がかかります。そうすると申請期間中は、就業ビザを持ちつつ、永住権の申請をしているという状態になります。
この状態について、法律的に考えると注意が必要です。
まず就労ビザという一時滞在ビザで働いているということは、その外国人は「いつか自国に帰国する」ということが前提となります。
就労ビザにはすべて期限があります。もちろん延長申請をすることも可能ですが、いつかは期限が切れるということが前提になっているのです。
したがって、あくまでも一時的な滞在ということが念頭に置かれています。
一方で、永住権というのは、米国に永住し、自国には戻らないということが前提になっています。就労ビザを保持しているのですから、いつかは自国に戻るという意思がありつつ、一方ではアメリカに永住する意思を持つという2つ相容れない立ち位置が発生するわけです。この2つ相容れない意思を持っていることを、二重意思(Dual Intent)を持っていると言います。
二重意思と米国からの出国
このような二重意思が存在している場合、気をつけなければならない事例があります。
米国内で仕事をしている日本人Aさんがいるとしましょう。このAさんは、家族が危篤で、どうしてもすぐに日本に戻らなくてはならない事態になったとします。Aさんは就労ビザで現在米国で働きながら、永住権の申請を米国内でしているとします。Aさんが、何もしないで、米国を離れた場合、永住権の申請が放棄されたものとみなされます
二重意思がある状態のAさんが永住権を得ていない状況で、米国を離れていると、永住の意思はないものとされてしまうからです。
もっとも、法律によって、就労ビザのうち、H-1BビザとLビザについては、二重意思を持ち続けることが近年認められましたので、Aさんのような状態で、米国に出入国をしつつ永住権の申請を継続できます。しかし、AさんがたとえばEビザを持って就労していると、永住権申請が放棄されたと解釈されるのです。
事前再入国許可証の必要性
Aさんが二重意思を認められているH-1BビザまたはLビザを持たない場合には、米国を出国する前に、必ず事前再入国許可証(Advanced Parole)を移民局から得ることが必要です。申請しただけでは足りず、必ず許可を得てからということになります。そうしないと、米国内でおこなった永住権申請は放棄したと解釈されるので、再度たとえば日本に滞在しつつ永住権申請を米国大使館等で行う必要がでてきます。
事前再入国許可証の申請から発給まで現在約3ヶ月ないし4ヶ月かかります。また発給されてからの有効期間は一年となります。もちろん不測の事態が発生した場合、Aさんは米国内での永住権申請を諦める必要がでてくるかもしれませんが、ある程度国外にいく可能性がある場合には、事前再入国許可を受けておくことを考えられたら良いと思います。
また、次回新しいトピックを考えていきたいと思います。今年も宜しくお願いいたします。
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作成者: jinkencom

jinkencom について JINKEN.COMの運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。