皆さんはお元気にされているでしょうか。私は風邪を引いてしまいました。季節の変わり目ですのでくれぐれも気をつけてくださいね。
さて、今回は、今年に入ってから、移民行政規則の変更が議論されている点について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
移民法と移民行政規則
移民法というのは、議会が定める法律ですが、その下位にあって実際の移民行政をコントロールしているのが移民行政規則です。ビザなどの細かい取決めについては、法律ではなく、規則によって制定されているのが現状です。これは、日本でも一緒のパターンです。法律を受けて、行政規則がたくさんあるのです。
移民に関する行政規則の変更は毎年行われるのが「お約束」なのですが、今回変更されるであろう点について、日本人のビザ保持者の方にも適用される可能性がありますので、ここでご紹介しておきたいと思います。
H-1Bビザと配偶者H-4ビザ
すでに、皆さんの中でもご存知の方が多いかもしれませんが、「専門的な分野」で働くビザとして代表的なものがH-1Bビザです。H-1Bビザは原則として4年制の大学を卒業し、その学位に沿った分野での仕事を行う場合に発給されるビザです。最近では毎年設定されている新規発給数を超えて申請がなされ、抽選で申請者を絞ることで注目も浴びているビザでもあります。H-1Bビザの取得要件等は今回考えませんが、多くのアメリカや日本の大卒者が利用して米国で働くときに使われるビザという位置づけになっています。また、H-1Bビザを取得したあとに、永住権に繋げられるパターンとしても定番です。
H-1Bビザの配偶者は、H-4ビザというビザを取得して、合法的に米国に滞在できます。しかし、一方で、別途ビザを取らなければ米国内で働くことはできません。
ところが一方で、LビザやEビザという、日本からの赴任でよく使われるビザについては、配偶者が労働許可申請をすれば、別途なんら移民局への申請をしなくても、合法的に働けることになっています。共働きをしたいという人たちにとっては、H-1Bビザは使い勝手が悪い部分があったのです。
今回の改正のポイント
この点について、今回移民行政規則で、H-1Bビザ保持者の配偶者にもある程度の労働について緩和することが提案されており、現実的になってきました。ただ、当初は制限的な労働許可の付与になりそうです。
H-4を保持している配偶者が労働許可を得るためには、少なくともH-1Bビザを保持している外国人が、永住権申請をはじめていることが要件となっています。したがって、永住権申請において移民局に申請をするI-140という書類を出した時点で、H-4保持者も労働許可を与えようと考えられています。
したがって、H-1Bビザを保持しているだけでは足りず、少なくとも移民局に対して永住権申請をしているという要件が必要になるわけです。
ですから、H-1Bビザの許可を得た人の配偶者がただちに労働許可を申請できるわけではなく、少なくとも永住権の申請をはじめるというプロセスが必要になるでしょう。ここまでは行政規則の変更として来年から実施される可能性が十分にありますから、H-1Bビザをお持ちの方は注意されておくと良いと思います。
実際に規則として制定された場合には、ブログでご紹介していきたいと思います。
改正の背景
なぜ、このような労働許可の緩和に向かっているのでしょうか。それは、できるだけ多くの専門的なタレント(能力)を持っている外国人を囲い込みたいという米国政府の意思が現れているからです。多くの専門的な知識をもった外国人を囲みこむためには、やはり配偶者も自由に働けるという環境があったほうが良いであろうということなのですね。そうすると、このトレンドというのは、さらに労働許可への開放にも向かいそうです。そのうちにH-4保持者には労働許可が認められることになるかもしれません。そうすると、アメリカに来るというインセンティブも増えるかもしれません。特に若い方たちは共働きの家庭が多いわけですから。
また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。
皆さんは風邪を引かないように注意されてくださいね。
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