December 02, 2005
今回はちょっと私が風邪を引いていたので、じんけんニュースの執筆が遅れてしまいました。ちょっとした風邪だったのですが、やはりいろいろ影響がでてしまいます。楽しみにじんけんニュースをお待ちいただいている皆さんにはご迷惑をおかけしました。皆さんも季節の変わり目ですので、お体の調子には充分注意してくださいね。
学生ビザ(Fビザ)申請における通達
さて、今回は学生ビザに関する話題です。
最近、アメリカ国務省は各国にあるアメリカ大使館・領事館に対して、学生ビザに関しての通達を出しました。ご存じの方も多いように、アメリカで学生をする場合には、外国人は通常Fビザ、専門学校などに関してはMビザという査証が必要になります。この学生ビザを取得するには一般的にはいくつかの要件を満たさなくてはなりませんが、大使館・領事館における裁量が加わる場合も多いのが現状でした。
今回の通達によって、要件をどのような情報や書類をそろえれば充足したとみなされるのか、ある程度アメリカ政府の明確な方向性が示されました。私は非常に良いニュースだと思います。以下、いくつかのポイントがありますので、箇条書きっぽくなってしまいますが、順次考えていきたいと思います。
ビザ申請時点で「帰る意思」があればよい
まず、学生ビザを得るための要件として「自国に帰る意思」というのが要求されます。もちろん、他の非移民ビザについても同じように「自国に帰る意思」が要求されるのですが、今回の通達は学生ビザに限るものです。この「自国に帰る意思」というのは査証を受けられるかどうかの決定に非常に影響します。学生ビザを申請する外国人にとって、どのようにして「自国に帰る意思」を査証申請の際示していくかというと、たとえば、家族が自国にいるとか、住む場所が自国にあるとか、自国に帰ってきたら仕事があるとか、といった内容の情報や書類が必要になってきます。
ところが、実際学生ビザを申請しようとする外国人は若い人が多かったり、将来の仕事をにらんで勉強をアメリカにしにいくという人が多いわけです。そうすると、自国に家を持っていたり、税金を払っているといった証明は難しいことが多くあります。また、アメリカに勉強をしにアメリカにいくという場合、ある程度の時間的な計画はあるでしょうが、その計画に沿って勉強が修了するとは限りません。このように学生としてアメリカに行きたい人には不安定な要素があるのが常なので、申請においても不安な要素になってしまうわけです。
このような状況をアメリカ国務省は理解をした上で、今回の通達により、学生ビザの申請に際して「自国に帰る意思」があるかどうかは、そのビザ申請の時点のみの事情で判断しなくてはならない、ということを通達しました。つまり、将来的にそのビザ申請者が自国に戻らない可能性があるのではないか、という推測はしてはいけない、ということを明確にしたのです。よって、ビザ申請時に、自国に帰る意思がある、ということさえ示せればビザを発給されるということが明確になったのです。ですから、これからは、将来的に学生は日本に帰るのか、帰らないのかと先読みされることはないので、しっかり申請時点で、勉強が終わったら帰るつもりです、という意思を書面にするなりして示すことが大事になるのです。
更新はできるだけ許す
次のポイントですが、学生ビザの更新についても、大きな事情の変化がない限り、できるだけ発行を許すという方向にするようにという通達の内容があります。すなわち、ビザスタンプが更新されないとアメリカを出入国することができなくなり、現在学生をしている外国人は、アメリカ再入国を拒否されてしまう可能性を恐れて、アメリカから出国できなくなってしまうという事態が発生します。今回、アメリカ国務省はこの事態があることを理解し、出来る限りビザの更新を許す方向で審査を行うことにしました。
I-20を発行できる学校なら同等の評価
第三のポイントですが、Fビザ申請時に各学校からI-20という書類を得ることが要件となりますが、どのような学校であるかということで申請の許可、不許可を決めてはならないことを通達しました。すなわち、英語学校であろうと、博士課程であろうと学校であることは変わりなく、どのような勉強をするか、ということでビザの発給を左右してはいけない、ということを明示したのです。I-20を発行できる学校であれば、移民法上どこであろうと同等に評価を受けなくてはいけないのですね、まあ、考えれば当たり前ですけど。
今回は長い通達で、他にもいくつかポイントはありますが、以上がメインなポイントだと思います。いままで不安な要素があった学生ビザ申請ですが、ある程度明確な基準が示されたことになり、これから学生ビザを取ろうと思う人、更新しようと思う人には朗報なのではないでしょうか。ということで今回はここまでにしておきます。
また次回までさようなら。
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