過去の交通違反とアメリカ再入国(3)_1544

法律ノート 第1544回 弁護士 鈴木淳司
Oct 4, 2026

新しいスマホが発表されたということで、業務で使うスマホを新しいものに買い替えようとして予約したのですが、色々情報をみていると、法律業務で使う程度だと、あまり機能に差がないということに気が付き一度は注文をいれたのですが、買い替えをキャンセルしました。毎年のように新しい機種がでるのは売る側からしたら良い作戦なのでしょうが、消費者側としては気をつけないと、ちょっとカメラが良くなった程度で大金を払わさせられます。車もそうですが、新しいものは魅力的に見える、少なくとも魅力的に見せて購買意欲を誘うものですが、気をつけないと不要なお金を使ってしまいます。皆さんのスマホは問題なく動いていますか?


さて、前二回考えた質問を今回も続けて考えていきましょう。いただいている質問をまとめると「カリフォルニア州に学生のときに住んでいました。現在は日本で外資系(米系)の会社で働いています。当時、学生のときに駐車違反を数度した覚えがあります。そのときに罰金を払ったか、払わなかったか覚えていないのですが、今度アメリカに行くときに、問題になり得る可能性はありますか。現在、犯罪歴があるとアメリカに入れないケースが増えていると聞いて不安になりました。何度か大学近くの警察にメールをしたのですが、返信が一切ありません」というものでした。

これまで、駐車違反は移民法上の犯罪歴にならないこと、未納の制裁金は基本的に車にひもづく行政上の債務であること、ただし走行中の違反の不出頭には注意が必要なことを整理してきました。今回は、最近の移民法の動きに触れながら、実際に渡米する際の注意点を考えます。

まず、ESTAの申請画面には、犯罪歴に関する質問があります。他人や政府機関に重大な損害を与えた犯罪で逮捕され又は有罪判決を受けたことがあるか、違法薬物に関する法律に違反したことがあるか、といった内容です。駐車違反はこれに該当しませんので、「いいえ」と回答して差し支えないと考えます。大切なのは、不安だからといって安易に「はい」と答えないこと、逆に該当するものを「いいえ」と答えないことです。INA212条(a)(6)(C)(i)は、詐欺又は故意の虚偽表示(Misrepresentation)によって入国等の利益を得ようとした者を、終身の入国拒否事由の対象としています。駐車違反そのものよりも、申請書への回答のほうがはるかに重い結果を招きうる、ということは覚えておいてください。
次に、最近の移民法の動きです。質問者の方が「犯罪歴があると入れないケースが増えている」と感じられるのは、法律の要件が変わったからというよりも、審査の運用が格段に厳しくなっているからです。2025年9月末にはESTAの申請手数料が21ドルから40ドルに引き上げられ、同年12月には、税関国境保護局が、ESTA申請者に過去5年分のソーシャルメディアの情報の提出を義務付けるなど、申請項目を大幅に拡大する案を公表しました。国務省も、すでに発給したビザの保持者について継続的審査(Continuous Vetting)を行う方針を打ち出し、2025年9月からは非移民ビザの面接免除の範囲を大きく縮小しています。空港での電子機器の検査も増えているとの報告があります。要は、過去の記録と申告内容の整合性が、これまで以上に細かく照合される時代になった、ということです。

質問者の方は米系企業にお勤めとのことですので、将来、駐在員としてL1ビザやEビザを申請する可能性もあるでしょう。その場合のビザ申請書(DS-160)は、ESTAよりも広く、あらゆる犯罪での逮捕歴や有罪判決の有無を尋ねています。軽微な交通違反は通常申告を要しないと扱われていますが、逮捕を伴ったものや飲酒・薬物が関係するものは別です。前回お話しした走行中の違反の不出頭が残っていれば、事前に処理しておくべきでしょう。

まとめると、駐車違反だけであれば過度に心配する必要はありません。ただ、記憶が曖昧であれば、渡米前に当時の処理機関のウェブサイトで可能であれば未納の有無を確認し、未納があれば納付してしまうのが一番すっきりすると思います。数百ドルで不安が解消するのであれば、安いものかもしれません。走行中の違反が含まれていたかもしれないということであれば、弁護士に相談して裁判所の記録を確認されることをお勧めします。

この質問についてはここまでにして、次回新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。


秋の行楽シーズンですが、移動の多い方は体調に注意して、また一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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