業界内転職。前職の悪い噂を止めさせたいが方法は?[2]





法律ノート 第1028回 弁護士 鈴木淳司
October 13, 2016
週末に友人の結婚式に出席し、スピーチをしてきました。スピーチの時間まで時間があって、かなり飲んでしまったのですが、新婚夫婦には喜んでもらえたようです。南カリフォルニアまで行ったのですが、気候がかなり良く汗ばむくらいでした。同じカリフォルニアといえども広いものですね。三連休の方もいらっしゃったと思いますが、皆さん週末はどのように過ごされましたか。
さて、前回から「最近、同様の業界内で転職をしました。転職そのものはスムーズだったのですが、転職後、同僚が私の前職での行動について悪い噂を会社内で流し、居づらくなっています。上司にも相談したのですが、基本的には気にしないように言われて終わっています。法的に何かできないのでしょうか」という質問をかんがえはじめました。
「業界内転職。前職の悪い噂を止めさせたいが方法は?」[2]
前回の復習をすると、まず法律などに先立って、就業規則(Employee handbook)にどのような行為が禁止されているのか会社内のルールについて確認する必要があると思います。
今回の質問にある、「悪い噂」の流布については、具体的に禁止されていない場合がほとんどだと思います。ただ、一般的に職務の遂行を妨げるような行為があった、という条項はあると思います。この一般的な条項は今回のようなケースの対応に使える可能性はあります。
社内での悪い噂の流布、どう考えるか
今回のようなケースは、単なる噂なので、可能であれば無視するのが一番利口な対応策だと思います。単なる噂を流す人、その噂を信じる人、であれば同僚であっても、その程度の人であると思っておけば良いと思います。同じレベルで、言い合いをするのはどうかな、と思うのです。
しかし、人によっては、感情的にセンシティブなこともありますし、実際に業務に支障が出ることもあるかもしれません。このような場合には友人などに軽く相談して、客観的な意見をもらってみることも精神的には良いかもしれませんが、職場においては就業規則に従って、上司や通報機関に相談してみることが良いと思います。
たとえば、今回の質問にある「噂」が虚偽の内容を含んでいる場合、名誉毀損などに該当するかもしれません。かりに違法な行為があったといえるのであれば会社としては、噂を流している人に対してなんらかの対応をすると思われますし、少なくとも、そのような行為をやめるように勧告すると思います。
名誉毀損で訴え出る可能性
一方で、会社側としては、悪質ではない行為と判断した場合には、何もしないことが考えられます。会社側も弁護士にも相談するかもしれません。
会社側が「悪い噂」について何も対応をしない場合、その判断を享受して、受け流し、職務に専念するのが良いかもしれませんが、場合によっては、「納得できない」と思われるかもしれません。その場合、何らかの法的手段を考えることになります。噂を流された、というだけでは訴訟をすることは難しいと思いますが、社会的な地位を貶めるために、虚偽の噂を流され、そのことによって、身体、精神、または財産などに損害を被ったことを証明できれば、名誉毀損などの訴訟が考えられます。ただ、名誉や信用を毀損された、というのは、単に悪口を言われて気に食わないという程度では法律上請求は成り立ちません。会社内で悪い噂を流されたというだけでは、社会上広く信用や名誉が毀損されたとは客観的には言いにくいと思います。
もちろん、辞職を余儀なくされたなどの、実質的な損害が「悪い噂」を流され、会社側も何もしない、そしてその噂は虚偽のものであった、などの事情があれば、法律上評価できる損害になるかもしれませんが、それだけでは足りないことも多々あります。私も、名誉毀損や信用毀損などの相談に多々接してきましたが、実際に事件になるのは極わずかであります。そういう意味では単なる噂で傷ついたというだけでは、訴訟にまでするのは一般的に難しいと考えてください。
法律論を別にして現実的に毅然と対処する
法律論で、悪い噂を封じ込めるのはあまり簡単ではありません。今回の法律ノートを反芻すると、やはり噂を流されたというのであれば、その噂を流している同僚の人にはっきりそのような行為をやめるように言うことが一番効果的かもしれません。その場合には上司などに相談をして、話をする席に同席してもらうなど、第三者の証人をつくっておくことが良いかもしれません。
直接の対峙が嫌であれば、就業規則に基いて相談をして、規則の範囲内での解決を目指すことが
良いのかもしれません。
次回また新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。秋本番になってきました。
私も、マツタケを食べましたし、サンマも食べました。秋はおいしいものが多いですね。食べ過ぎ飲み過ぎに注意しつつ、また一週間がんばっていきましょう。