本記事について
本記事は、オーストラリアにおける損害賠償請求と、提携先のミッチェル・クラーク弁護士(MBA法律事務所 ジャパンリーガルサービス、豪州クイーンズランド州弁護士)のサービスについてご説明するものです。JINKEN運営元(米国カリフォルニア州弁護士)とは異なる法域・専門分野のため、米国の法律・弁護士費用の慣行とは区別してご覧ください。
制度や実績の数字だけでは、なかなか実感が湧かないかもしれません。
ここでは、ミッチェル・クラーク弁護士(MBA法律事務所 ジャパンリーガルサービス)が実際にオーストラリアの最高裁判所(Supreme Court)で争い、勝ち取った事例の中から、3つをご紹介します。
いずれも、複雑な事実関係や、複数の当事者が絡む難しい案件でした。
※ プライバシーに配慮し、当事者の方はイニシャルで表記しています。
事例1:深夜のボート事故—誰の過失かが争われたケース
釣りを愛するT.R.さんは、ある夜、友人とともにゴールドコースト近郊のニーラン川で小型ボート(ディンギー)に乗っていました。
そこへ、通りがかったスピードボートが衝突。Rさんは背骨を骨折し、その後PTSD(心的外傷後ストレス障害)も発症しました。
このケースが難しかったのは、責任の所在が一つに定まらなかったことです。
スピードボート側の保険会社と、友人が所有するディンギー側の保険会社、双方に対して請求を行う必要があり、事故の原因について激しい議論が交わされました。
最高裁判所のホームズ判事は、審理の結果、Rさんの主張を認め、事故の主な原因は次の2つであると判断しました。
- スピードボートが出していた速度
- ディンギーの係留位置(川の流れの中に大きくはみ出しており、航行灯以外に衝突を防ぐ手立てがなかったこと)
この判決により、事故をきっかけに長年勤めたオーストラリア・ポスト(郵便公社)を早期退職せざるを得なかったRさんは、正当な補償を受けることができました。
(Rigney v Browne and Nelson [2004] QSC 265)
事例2:夫を亡くした家族を支えた判決
これは、大切なご家族を亡くされた、大変つらい事故のお話です。
サウスポートでの集まりからの帰り道、S.C.さんは事故に遭い、亡くなりました。
当時、身重だったパートナーのL.F.さんは、幼い息子とともに先に会場を離れており、Cさんは一人でタクシーに乗って帰宅する予定でした。
飲酒していたCさんが、あえてタクシーで帰ろうとしたこと自体は、責任ある判断だったと言えます。
ところが、住所の伝達に行き違いがあり、タクシーはCさんを本来とは違う場所で降ろしてしまいました。
その後、Cさんは1キロほどの距離を歩いている最中に、別の車にはねられてしまったのです。
この裁判では、遺されたFさんと、父親を亡くした2人の子どもたちのための補償を求め、タクシー会社を含む複数の当事者の法的責任が争われました。
最高裁判所は、タクシー運転手がCさんの安全のために、もっとできることがあったはずだと認め、この点が判決の決め手となりました。
大切な家族を、そしてご家庭の生活を支える大黒柱を失うという、何よりつらい出来事の中で、遺された家族の生活を支える大切な判決となりました。
(French v QBE [2011] QSC 105)
事例3:銀行強盗の被害に遭った警備員のケース
C.M.さんは、ブランブルズ社の警備員として勤務中、ツイード・ヘッズの銀行を訪問していた際、武装強盗に人質に取られるという恐ろしい体験をしました(1995年11月、メルボルン・カップ・デーの出来事)。
銃を突きつけられ、命の危険を感じたMさんは、その後、深刻な精神的後遺症を抱えることになりました。
労災保険の請求は、雇用主であるブランブルズ社によって却下され、Mさんは最高裁判所での裁判に踏み切らざるを得ませんでした。
この裁判の争点は、強盗が始まる前に、Mさんが同僚から不審な男2人について警告を受けていたかどうかでした。
Mさんを担当した上級法廷弁護士は、鍵となる証人(当時の同僚であり、装甲車の運転手だった人物)から、優れた尋問によって重要な証言を引き出しました。
その証人自身も事件で長年にわたる苦しみを抱えており、「Mさんに警告した」という記憶は、後年、罪悪感から無意識に作り上げてしまった可能性がある、と証言したのです。
この点は、担当したホワイト判事の判決文でも特に言及され、Mさんに有利な判断を導く重要な決め手となりました。
(McMillen v Brambles Security Services Limited [2001] QSC 271)
3つの事例が示すこと:複雑な案件ほど裁判で決着をつける力が要る
3つの事例に共通しているのは、一見して結論が明らかではない、複雑な事案であったということです。
責任の所在が複数の当事者にまたがっていたり、記憶や証言の信頼性そのものが争点になったりと、いずれも簡単な交渉だけでは解決しなかったケースです。
だからこそ、最終的に裁判で決着をつける力を持つ弁護士がついているかどうかが、結果を大きく左右したと言えるでしょう。
弁護士を選ぶ際の基準については、オーストラリアで弁護士を選ぶとき、何を基準にすればいい?もあわせてご覧ください。
ミッチェル・クラーク弁護士(MBA法律事務所 ジャパンリーガルサービス)では、請求権があるかどうかの査定を無料で行っています。
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この記事について / About this article
編集 / Edited by: JINKEN Australia Desk
JINKEN Australia Desk は、オーストラリアでの損害賠償請求について、日本語話者向けに情報をお届けする JINKEN の豪州編集チームです。提携先であるミッチェル・クラーク弁護士(MBA法律事務所 ジャパンリーガルサービス、豪州クイーンズランド州弁護士)への取材・監修をもとに、交通事故や労災など personal injury・補償分野の記事を編集しています。JINKEN運営元(米国カリフォルニア州弁護士)とは異なる法域・専門分野を扱っているため、米国の法律・弁護士費用の慣行とは区別してご覧ください。
JINKEN Australia Desk is JINKEN’s editorial team covering personal injury and compensation claims in Australia (Queensland) for Japanese-speaking readers. Our articles are produced in consultation with our partner Mitchell Clark, a Queensland-based lawyer at MBA Lawyers who specialises in this field. Please note that this coverage concerns Australian law and differs in jurisdiction and practice from JINKEN’s home operation (a California-based US attorney).