日米の刑事司法-2020年年初に思うこと

法律ノート 第1194回 弁護士 鈴木淳司
January 5, 2020


 法律ノート読者の皆さんあけましておめでとうございます。今年も、力を入れずに法律ノートを続けていきたいと思います。皆さんから、いろいろな質問をいただくのは楽しみですし、法律のことは考えてもネタが尽きることはありません。ですので、皆さんのお役にたてる限り、続けていく意義はあるのではないかと思います。どうか、今年も宜しくお願いいたします。

 皆さんの新年はいかがでしたか。私はリフレッシュでき、新年やらねばならないことなどを、のんびり考えたりしながら、相変わらず酒を嗜んでおりました。新年なので、一回お休みさせていただき、最近起きたことを考えさせてください。

 昨年末、日本の刑事司法における衝撃的な出来事が起こりました。
 日本の刑事事件の係属中にカルロス・ゴーン氏が保釈条件を無視して、日本から海外に逃げてしまいました。年末、そして年始から司法、行政関係者は、大変な状況であると思います。

 私は、ゴーン氏の弁護団の一人でもあるT弁護士とは昨年別の国際刑事事件で一緒に関わっていたこともあり、今、弁護団はかなり忙しくしていると憂慮しています。T弁護士はブログに私見を載せられていましたが、日本の刑事司法に関する疑問というのは、私も数回前の法律ノートで丁度書いたところであります。それから、今回の事件を機に犯罪人引渡についてかなり法曹からもコメントがなされているようですが、昨年私自身、とてもレアな犯罪人引渡の事件を実際に日本とアメリカで関わっていたものですから、興味を持って拝見しています。

 ただ、ほとんどのマスコミやネットにでている法曹は、犯罪人引渡事件を実際に争っていないのか、コメントを見ていてもあまり感心するものは今のところありません。実際に事件を担当した弁護士は簡単に話をするものではないのでしょうね。


 さて、T弁護士のブログを見ると、公に自分のクライアントが何をしゃべっているのかを書くのは良いのか悪いのかは別として、ゴーン氏が「有罪にもなっていないのに刑事事件化しただけで刑罰を受けているようなものだ」といった趣旨の話している行がありました。

 かなり長期間勾留されていた事実がありますが、日本で未決(まだ、裁判で判決がでていないので、推定無罪なはずです。)の被告人の扱いについて、私もかなり刑罰に近い感じを受けています。

 みなさんは東京拘置所に行かれたことがあるかわかりませんが、接見にいくための廊下を歩いているだけで、冬などそれはもう寒いものですし、内部でも、至るところで「禁止」事項が課せられているのが現実です。

 未決の状態で、日本の東京拘置所と、アメリカの連邦の拘置所に入った経験がある人に聞くと、日本のご飯は美味しいが、その他は、アメリカの方が比べ物にならないほど良いそうです。アメリカの拘置所の飯はまずい、という話でした。しかし、私も、食べさせてもらうと、まんざらではなく完食したので、日本のご飯の方が美味しいかはわかりません。

 また、今回ゴーン氏の事件では、保釈が認められましたが、その条件が、家族とも話ができない、などということで、アメリカなどの先進諸国では到底考えられない制限ぶりも明らかになったと思います。もちろん、家族が犯罪に関与している形跡や、逃走を助けたりするような事実があれば別ですが、一切家族とも連絡をとってはいけない、という条件について、なぜそこまでしなくてはいけないのか、と首をかしげてしまいます。ゴーン氏でなくても、精神的に追い込まれるでしょうね。

 昨年末に日本の刑事事件について法律ノートでも、少々取り上げましたが、そのときに私はデュー・プロセスという単語を使いました。対峙する当事者(刑事事件では検察と被告人ですね。)ができるだけ対等にフェアに闘いができなくてはならないという考えがデュープロセスの根底にあります。

 被告人を精神的に追い込んでしまった状況で、フェアな闘いというのが、望めるのか疑問でなりません。これから、ゴーン被告がどのような発信をしていくのかわかりませんが、今後、日本の刑事司法も今回の事件について、被告人にとっても、フェアな闘いができるように、自発的な変化をしていかないと、いろいろな軋轢が発生していくのではないかと思ってしまいます。

 新年から、考えさせる出来事が起こっていますが、この事を将来の刑事司法の充実に繋げていくキッカケにしてほしいと心から願っています。
 また、次回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。ホリデーからスイッチを入れ替えて、また一週間がんばっていきましょうね。

 


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